【烏】 10画 (6) 準1級


[音]
[訓] からす
くろ
いずくんぞ
なん

《意味》

  1. カラス。カラス科の鳥の総称。
  2. 黒い。「烏帽」
  3. ああ。感嘆・嘆息の声。「烏乎」「鳴」
  4. いずくんぞ。「どうして~か」と反語の意味を表す。「安」「焉」「悪」と、意味・用法ともに同じだが、用例は少ない。「烏有」
  5. 太陽。「烏兎」
    中国では、太陽の中に三本足のからすがいるという伝説があったことから。

【烏賊】いか

海にすむ軟体動物。10本の吸盤をもつ腕がある。目が非常に発達し、敵にあうと腹部から黒い汁を出して逃げる。食用。
烏をだまして巻き取るといわれることから。「墨魚・烏鰂・烏鯽」とも書く。
Wikipediaイカ

【烏んぞ】いずくんぞ 

どうして。なんで。
漢文を訓読みにした語で、「いずくにぞ」の転。下に推量の語をつけて反語の意を表す。
「烏んぞ有らんや」・・・どうして有るだろうか

【烏竜茶】ウーロンちゃ

ウーロン茶。茶の一種。紅茶と緑茶の中間的性状をもつ半発酵茶でやや紅茶に近く、かおりが強い。中国福建省や台湾から産する。
「烏竜」は、色がカラスのように褐色で、仕上がりの茶の形が竜の爪のように曲がっているところから。

【烏焉魚】うえんろぎょ

文字の書き誤りのこと。「烏」と「焉」、「」と「魚」の字形が似ていて、間違えやすいことから。
烏焉成馬(うえんせいば)」「魯魚之謬(ろぎょのあやまり)」「魯魚亥豕(ろぎょがいし)」「魯魚陶陰(ろぎょとういん)」「魯魚章草(ろぎょしょうそう)」「魯魚帝虎(ろぎょていこ)」「亥豕之譌(がいしのか)」「焉馬之誤(えんばのあやまり)」「三豕渡河(さんしとか)

【烏喙】うかい

カラスのようなくちばし。欲の深い人相のたとえ。

【烏克蘭】ウクライナ

ウクライナ。ヨーロッパ東部、黒海北岸に臨むチェルノーゼム地帯を占める共和国。
Wikipediaウクライナ

【烏合の衆】うごうのしゅう

規律も統一もなく寄せ集められた多くの人々。
「烏集の交わり」

【烏骨鶏】うこっけい

ニワトリの一品種。東アジア原産。古く中国から渡来。観賞用・食肉用に飼われた。天然記念物。
皮膚・肉・骨が暗紫色を帯びているところから

【烏盞】うさん

黒の(うわぐすり)をかけた天目(てんもく)茶碗。献茶に用いる。
盞」とも書く。

【烏漆】うしつ

漆黒。光沢のある黒色。

【烏鵲】うじゃく

  1. カササギ。
  2. カササギとカラス。
「うしゃく」とも読む。
《烏鵲の智》うじゃくのち
遠い先のことばかり心配して、身近な危険を考えないこと。
カササギが強風を避けて低い枝に巣を作るのはよいとしても、そのためにヒナや卵が危険にさらされることを忘れていることから。
「烏鵲」は「鳥鵲」ともいう。

【烏鵲橋】うじゃくきょう

七夕に、牽牛(けんぎゅう)・織女の二星を会わせるためカササギが翼を並べて天の川に渡すという橋。
男女の仲を取り持つものの意にもいう。
「鵲の渡せる橋」「鵲の橋」「鵲橋(じゃっきょう)」ともいう。

【烏集】うしゅう

がやがやと烏のように寄り集まること。
烏合(うごう)
《烏集の交わり》うしゅうのまじわり
相手かまわず結びついた交わり。利欲のためにすぐに争いを起こす交わり。

【烏頭】うず

トリカブトの根。有毒でアコニチンを含有。鎮痛剤・麻酔剤などとされる。附子(ぶし)
カラスの頭に似た形をしていることから。

【烏鳥の私情】うちょうのしじょう

子どもが親に養われた恩を忘れずに、孝養をつくす情愛。
カラスはひなのとき養われた恩返しに、口の中に含んだ食物を口づたえに親鳥に食べさせる孝行心があるという伝説から。
四文字熟語で「烏鳥私情」とも書く。
反哺(はんぽ)(こう)」「反哺之(こころ)」「反哺之(しゅう)」「三枝之礼(さんしのれい)」「慈烏反哺(じうはんぽ)

【烏うと

  1. 太陽と月。
    太陽にはカラス(金烏)、月にはウサギ(玉兎)がすむという中国の伝説から。
  2. 年月。月日。歳月。

【烏匆匆】うとそうそう

月日があわただしく過ぎ去るようす。
「烏飛走」「露往霜来(ろおうそうらい)」「光陰如箭(こういんじょぜん)

【烏白馬角】うはくばかく

絶対に起こりえないこと。
カラスの頭が白くなり、馬に角が生える。
角」「毛」

【烏飛走】うひとそう

「烏兎匆匆」に同じ。
走烏飛」

【烏文木】うぶんぼく

(こくたん)の異名。
烏木(うぼく)」ともいう。

【烏薬】うやく

テンダイウヤク。また、その根を乾燥した生薬。漢方で健胃薬・鎮痙薬とする。

【烏有】うゆう

まったくないこと。何もなくなること。
(いずくん)ぞ有らんや」の意。
《烏有に帰す》うゆうにきす
何もなくなってしまう。特に、火災などですべてなくなる。
「苦労して集めた書物も烏有に帰した」
「帰す」は「属す」ともいう。
灰燼(かいじん)に帰す」

【烏魯木斉】ウルムチ

ウルムチ(Wulumuqi)。中国新彊ウイグル自治区の区都。
Wikipediaウルムチ

【烏鷺】うろ

  1. カラスとサギ。
  2. 黒と白(黒いカラスと白いサギのことから)。
  3. 囲碁の別称。
    「烏鷺の勝敗を決する」
《烏鷺の争い》うろのあらそい
囲碁をうつこと。囲碁の勝負。

【烏帽子】えぼし

昔、元服した公家(くげ)・武士などがかぶった一種のぼうし。古くは紗絹(しゃぎぬ)、後には紙を使い、黒い(うるし)でぬり固めて作った。
「烏帽子」を用いたことわざ・慣用句など

【烏おこ

愚かなこと(人)。ばかげたこと(人)。
「烏滸の沙汰(ばかばかしいこと)」
「尾・痴」とも書く。

【烏がましい】おこがましい

  1. ばかげている。みっともない。
    「口にするのも烏滸がましい」
  2. 身のほどしらずでなまいきである。さしでがましい。
    「私が言うのも烏滸がましいのですが」

【烏】からす

カラス科の鳥。体色はまっ黒。雑食性で、鳥類の中では高い知能をもつ。ふつうカラスと呼んでいるのは、ハシブトガラス・ハシボソガラスの二種で、ともに翼長35㎝前後。日本全国に分布し、人里近くの高い木などで群れをなして生活するので、スズメ・ハトとともに親しい鳥である。昔から不吉な鳥とされる。
「鴉・慈鳥」とも書く。
Wikipedia
「烏」を用いたことわざ・慣用句など。

【烏竹】くろちく

ハチクの栽培変種。茎が紫褐色。細工物などに用いる。紫竹。
「黒竹」とも書く。

【烏豆】くろまめ

大豆の一種。豆の外皮の黒いもの。正月のおせち料理などに用いる。
「黒豆」とも書く。

【烏くろもじ

クスノキ科の落葉低木。
Wikipediaクロモジ
「烏樟」は漢名から。「黒文字」とも書く。

【烏芋】くわい

オモダカ科の多年草。野菜として水田などで栽培する。青みがかった塊状の地下茎を食用にする。
球塊の上部に芽が出ていることから「芽が出る」「めでたい」として正月料理などに使う。
「慈」とも書く。

【烏木】こくたん

東南アジアに分布するカキノキ科の常緑高木。光沢のある黒色の材は緻密で堅く、高級家具などの材料として珍重される。
「烏木」は漢名から。「黒檀」とも書く。

【烏臼】なんきんはぜ

トウダイグサ科の落葉高木。中国原産。暖地で栽培。葉は菱形で紅葉が美しい。種子からとった脂肪は石鹸、蠟燭(ろうそく)の原料。根皮は利尿剤にする。
「烏臼」は漢名から。
「南京黄櫨」とも書く。

【烏玉・烏珠】ぬばたま

黒い珠、またはヒオウギ(扇)の実のことというが、未詳。
和歌において「ぬばたまの~」は「黒・夜・髪・夢」などにかかる枕詞。
「射干玉・野干玉」とも書く。
「うばたま・むばたま」ともいう。

【屋烏の愛】おくうのあい

人を愛すると、その家の上にとまっている烏までもいとおしくなるということ。愛情が深いことのたとえ。
愛及屋烏(あいきゅうおくう)」「愛屋及烏(あいおくきゅうう)

【金烏玉兎】きんうぎょくと

太陽と月。また、月日のたとえ。
中国古代の伝説で、「金烏」は太陽にいるという三本足のカラスで日を表し、「玉兎」は月にいるというウサギで月を表す。
白兎赤烏(はくとせきう)

【慈烏反哺】じうはんぽ

子どもが親の恩に報いて親孝行を尽くすこと。
カラスは成長すると親に口移しで餌を与えるということから。
「慈烏」はカラスの異称。「反哺」は口の中の餌を口移しで食べさせること。
「烏鳥の私情」
反哺(はんぽ)(こう)」「反哺之(こころ)」「反哺之(しゅう)」「三枝之礼(さんしのれい)

【白赤烏】はくとせきう

時間のこと。
「白兎」は月にいるというウサギで月を表し、「赤烏」は太陽にいるという三本足のカラスで日を表す。烏兎。
金烏玉兎(きんうぎょくと)

《字源》

カラスの象形。
金文の字形は、死んだカラスをつるした形。
羽をバラバラにして縄にかけわたした形は
古代もカラスは害鳥だったらしく、カラスをつるして被害を避けていたと思われる。
「烏」も感動詞「ああ」に用いられるが、烏追いの声を感動詞に用いた。

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