【駕】 15画 (5)  準1級


[音]
   
[訓]
  のりもの
  あつか
  しの

《意味》

  1. 馬や車に乗る。使いこなす。あやつる。
  2. 乗り物。また、天子の乗り物。
  3. しのぐ(凌)。越える。

【駕籠】かご

昔の乗り物の一つ。竹や木で作った台の上に人を乗せ、それに棒を通して、二人以上の人が前後に立ち、かついで運ぶもの。
《駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人》かごにのるひとかつぐひと、そのまたわらじをつくるひと
この世の中にはいろいろな職業や階級があって、人の貧富の差や境遇はさまざまであることのたとえ。
また、世の中はさまざまな境遇の人たちによって成り立っているということのたとえ。

【駕籠舁(き)】かごかき

駕籠(かご)をかつぐのを職業にする人。かごや。
《駕籠舁き駕籠に乗らず》かごかきかごにのらず
日ごろ仕事として扱っている物を、自分のためには使わないたとえ。
また、仕事で他人の面倒は見るが、自分のことまでは手が回らないたとえ。
「医者の不養生」「鍛冶屋(かじや)の竹火箸」「髪結いの乱れ髪」「紺屋(こうや)白袴(しろばかま)」「餅屋は餅食わず」「槍持ち槍を使わず」

【駕御・駕馭】がぎょ

  1. 馬を自由に使いこなすこと。
  2. 人を思いのままに使うこと。

【駕する】がする 

  1. 馬車・馬などに、乗る。
  2. 他のものを(しの)いで上に出る。凌駕(りょうが)する。

【駕をげる】がをまげる

身分の低い者を、貴人がわざわざ訪問する。
転じて、「訪問する」「来訪する」の尊敬語。

【駕る】のる 

  1. 馬車・馬などに、乗る。
  2. 牛馬などを扱いこなす。

駕】おうが

相手の来訪を尊敬していう語。御来駕(ごらいが)
「枉駕の栄に浴す」
「枉車」「枉顧」
わざわざ、駕を()げて(=乗り物の方向を変えて)来る意から。

駕来臨】おうがらいりん

わざわざお越しいただきまして、ということ。人の来訪に対して敬意を表す語。
「駕を枉げて来臨す」が書き下し文。

【宮車晏駕】きゅうしゃあんが

天子の崩御のこと。
「晏」は晩のこと。「駕」は馬車に馬をつける。「晏駕」は日が暮れてから出発する意で、天子が死んで、朝廷へ出ることがないのを遠まわしに言った語。

【繋駕】けいが 

  1. 乗り物に馬をつなぐこと。
  2. 競馬で、二輪車に人が一人乗り、それを馬に引かせて走る競走。日本では禁止されている。
    「繋駕競走」

【千里命駕】せんりめいが

遥かな遠方よりおいでになること。遠くの友人知人に対する思いが厚いさま。
千里を遠しとせず、車を準備させて出掛けて行く意から。
千里(せんり)()
「千里、駕を命ず」が書き下し文。

【駑馬十駕】どばじゅうが

才能の劣った者でも、怠りなく努力すれば才能ある者と肩を並べることができること。
「駑馬」はのろい馬。「駕」は車を牽(ひ)くこと。のろい馬も十日かけて車をひいて走ること。
十駕(じゅうが)(じゅつ)

【並駕斉へいがせいく

力や能力に差がないこと。
「駕」は車につなぐ馬。「駆」は馬や車を走らせる。御者が車を引く実力の異なる馬四頭を並べ、うまい具合に操り、きちんとそろえて走らせる意から。
(なら)()(ひと)しく()る」

《字源》

声符は「加(か)
「加」に架上の意があり、車に馬をつけることをいう。

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