【狗】 8画 (5) 準1級


[音]
  コウ
[訓] いぬ
   

《意味》

いぬ。こいぬ。また、いやしいもののたとえ。

【狗】いぬ

  1. イヌ科の哺乳動物。愛玩用に小さいイヌ。
    Wikipediaイヌ
  2. まわし者。スパイ。

【狗母魚】えそ

エソ科の海魚の総称。肉は白く美味であるが、小骨が多い。上等な蒲鉾(かまぼこ)の原料にする。
Wikipediaエソ
「鱛」とも書く。

【狗】えのこ

犬の子。えのころ。

【狗尾草】えのころぐさ

イネ科の一年草。路傍に普通に見られる雑草。ネコジャラシ。
Wikipediaエノコログサ

【狗盗】くとう

こぬすびと。こそどろ。
鶏鳴狗盗(けいめいくとう)

【狗緇衣】くはいしい 

いつも着ている服装を変えると怪しまれてしまうこと。
「狗吠」は犬が吠えること。「緇衣」は黒い衣服。
「狗緇衣に吠ゆ」が書き下し文。
楊朱の弟の楊布が白衣で外出して雨に濡れ、黒衣で帰ると飼い犬が楊布に気づかず吠えた。怒った楊布が殴ろうとすると、楊朱が「白い犬が黒くなって帰ってきたら、お前も怪しむだろう」と制したという説話から。

【狗馬の心】くばのこころ

君主に対する自分の忠誠心を謙遜していう言葉。
イヌやウマが主人に示す誠意。
犬馬(けんば)の心」

【狗尾続くびぞくちょう

  1. 官爵を乱発するのを罵る語。
  2. つまらない者が高官に列すること。
  3. 劣った者がすぐれた者のあとに続くこと。また、他人の行なった仕事を受け継いで行うことのたとえ。
「狗尾」は犬のしっぽ、「貂」はテン。
中国、西晋(せいしん)の趙王司馬倫が帝位を称し、一族の者をつまらない者まで多数高位高官につけたために、冠に使うテンの尾が不足し犬の尾で代用するようになったという故事から。
続貂(ぞくちょう)(そしり)

【狗舌草】さわおぐるま

キク科の多年草。山野の湿地に自生。茎は太く、中空。根葉には長い柄がある。春、茎頂に径3センチメートルほどの黄色の頭花を数個つける。
google検索サワオグルマ
「沢小車」とも書く。

【狗筋蔓】なんばんはこべ

ナデシコ科の(つる)性の多年草。
植物園へようこそ!ナンバンハコベ
「南蛮繁縷」とも書く。

【画虎類狗】がこるいく

  1. 才能のない者が本物をまねても、似ているだけで実際は違うものになってしまうということ。
  2. 大きな目的をもって遠大なものを求めても、かえって結果が不成功に終わることのたとえ。
絵の才能がないものがトラの絵を描こうとして描いてもイヌに似た絵になってしまうということから。
(とら)(えが)きて(いぬ)(るい)す」

【魚狗】かわせみ

カワセミ科の鳥。大きさはスズメぐらいで、くちばしが長く尾は短い。背は青緑色で、腹が赤く美しい。
川・池などの近くにすみ、魚をとらえて食べる。巣はがけに横穴を掘って作る。
ヒスイ。ショウビン。
Wikipediaカワセミ
」「川」「魚虎」とも書く。

【鶏鳴狗盗】けいめいくとう

策を(ろう)する人や、くだらない技能をもつ人、つまらないことしかできない人のたとえ。
また、つまらないことでも何かの役に立つことがあるたとえ。
「鶏鳴」は鶏の鳴きまね。「狗盗」は犬のようにこそこそと、物を盗むこと。卑しいことをして人をあざむく者のたとえ。
中国戦国時代、秦の昭王(しょうおう)に捕らえられた(せい)孟嘗君(もうしょうくん)が、犬のまねをして盗みを働く食客と、巧みに鶏の鳴きまねのできる食客の働きで、無事に逃れた故事から。

【狡良狗】こうとりょうく

戦ってきた敵国が滅びると、先頭に功績のあった家臣が有害無用として殺されることのたとえ。
転じて、役に立つときはさんざん利用され、不要になると見捨てられることのたとえ。
ウサギがみんな死んでしまうと兎狩りに使う猟犬も無用になり、煮て食われてしまうという意から。
「狡兎死して良狗煮らる」の略。「狡兎死して走狗(そうく)()らる」とも言う。
狡兎走狗(こうとそうく)」「得魚忘筌(とくぎょぼうせん)」「鳥尽弓蔵(ちょうじんきゅうぞう)

【跖狗せきくはいぎょう 

人はそれぞれ自分の仕える主人に忠を尽くすもので、善悪をわきまえて尽くすわけではないということ。
また、善悪の評は立場をかえれば逆になることのたとえ。
大どろぼうの盗跖(とうせき)の犬が、聖人の尭帝に対してほえるという意。

【喪家の狗】そうかのいぬ

ひどくやつれて元気のない人のたとえ。また、身の寄せ場がなく、うろつきまわる者。
喪中のためにかまってもらえず、(えさ)も与えられずにやせ衰えた犬の意。
また、家を失った犬の意(「喪」を「うしなう」意に解する)。

【走狗】そうく

  1. 狩りで、鳥やけものを追うのに使われる犬。
  2. 人の手先として使われる者。軽蔑(けいべつ)して言う語。

【鼠窃狗盗】そせつくとう

こそどろ。
ネズミや犬のように、人に隠れて物を盗むこと。

【天狗】てんぐ 

  1. 深山にすむという想像上の怪物。赤顔で鼻が異常に高く、神通力(ジンズウリキ)をもち、大きな羽うちわを持って空を自由に飛ぶという。
  2. 自慢すること(人)。うぬぼれること(人)。
Wikipedia天狗

【白衣蒼狗】はくいそうく

世の中の変化が速いことのたとえ。
空の雲は白衣のように見えるかと思えば、すぐに青い(黒い)犬のように変わる意。

【飛鷹走狗】ひようそうく

狩猟をすること。
鷹を飛ばし犬を走らせる意。

【羊頭狗肉】ようとうくにく

見かけだけ立派で内容の伴わないことのたとえ。良品に見せかけたり、宣伝は立派だが、実際には粗悪な品を売るたとえ。
羊の頭を看板にかけながら、実際は犬の肉を売る意から。
「羊頭を()けて狗肉を売る」の略。
牛首馬肉(ぎゅうしゅばにく)」「羊頭馬脯(ようとうばほ)」「羊質虎皮(ようしつこひ)

《字源》

声符は「句」
「句」には小さく曲がる意があり、犬の子には「狗」、馬の子には「駒」という。
「句」「勹(ほう)+口」
「勹」は人が体をかがめている形、「口(さい)祝詞(のりと)を収める器で、「局」と同様に屈葬を表す。

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