【虞】 13画 (7)  2級

基本字


[音]
[訓] おそれ

《意味》

  1. おそれる。おそれ。先のことを考えて心配する。あれこれと気をまわして心配する。うれい。心配。「不虞」「憂虞」
  2. 中国古代の王朝の名。

【虞】おそれ

よくないことが起こるのではないかという心配。懸念。
多く「~のおそれ」の形で用いる。
「台風が上陸する虞がある」「風邪をひくのを虞(なが)ら泳ぐ」
仮名書きが多いが、「恐れ」「惧れ」とも書く。

【虞犯】ぐはん

一定の事由があって、その性格・環境から判断して、将来、罪を犯しまたは刑罰法令にふれる行為をするおそれのあること。

【虞犯少年】ぐはんしょうねん

日常の言動やその性格・環境などから判断して、将来、刑罰法令にふれる行為をするおそれのある、未成年者。家庭裁判所の審判に付することがある。

【虞美人草】ぐびじんそう

「ひなげし」の別名。
「虞美人」は、中国の武将項羽(こうう)の愛人の名で、代表的な美人といわれる。
漢軍に包囲されて自決したときの血から生じたという伝説から。
(ひなげし)・雛芥子」

【不虞】ふぐ

思いがけない。予期しない。また、そのこと。

【不虞之誉】ふぐのほまれ

思いがけなく得た名誉のこと。
求全之毀(きゅうぜんのそしり)

【憂虞】ゆうぐ

心配し恐れること。
「憂惧」とも書く。

《字源》

声符は「吳(呉)(ご)
「吳」祝詞(のりと)を収める器「口(さい)を捧げて舞い祈る形で、神を楽しませ、神意をやわらげることをいう。
更に、(とら)のかぶり物をしている形が「虞」
虎のかぶり物をしている形が含まれる字に「戯」「劇」があり、もと軍事行動や狩猟に際する儀礼に関わることから、「虞」も軍事や狩猟に関係する字と思われる。
「虞」の金文。

《字体》

が初唐標準字体。
とらがしらは、唐代楷書の頃からの形で書かれていて、日本でも古くから一般的であった。
説文篆文に準拠したは隷書を経て少数派ながら存在し、中唐以降正字として扱われるようになり、日本でも常用漢字で採用された。
「呉」の部分は唐代楷書ではと書くのが一般的で、説文篆文を楷書化した康煕字典体のようなが使われた例はない。
唐代の玄秘塔碑などにの形が少数あり、常用漢字で「呉」に従う漢字はこれを採用している。
:玄秘塔碑(唐)の「呉」
:崔孝昌墓誌銘(唐)の「虞」。唐代楷書は、この字体が主流。
:唐代楷書の多くの筆順 :他に考えられる筆順(2画目ver.)
などとらがしらの筆順は、中から書いて、最後に左払いである。とらがしらの初唐標準字体の筆順はこのように書く。わかりにくいときは同年代の行書の筆順より類推されるためこのようになります。
崔孝昌墓誌銘(唐)の「虞」のように左払いが下の方にある場合、左払いが2画目もしくは3画目となるには離れすぎているため最終画となるようですが、上部にくっついてる場合は2画目もしくは3画目ではないかと類推されます。左払いではなく、止めている字体も多数あり、これは明らかに2画目で、雨かんむりのような筆順が考えられます。このように、字体に様々な揺れがあるように、筆順にも様々な揺れがあります。

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