【】 11画 扌(8) 準1級
異体字【】
[音] | ケン |
[訓] | まく |
まくる | |
めくる | |
いさむ |
《意味》
【捲土重来】けんどちょうらい
一度敗れたものが、いったん引き下がりふたたび勢力をもりかえしてくること。
土を巻く勢いで、重ねて来る意。
「けんどじゅうらい」とも読む。
「一蹶不振」
【捲く】まく
「巻く」と同じ。
【捲し上げる】まくしあげる
まくって上の方に引き上げる。
「濡れないように裾を捲し上げた」
「捲り上げる」ともいう。
【捲し立てる】まくしたてる
激しい勢いでつづけざまにしゃべる。
「反論されないように捲し立てた」
「捲くし掛ける」
【捲る】まくる
【捲る】めくる
【席捲】せっけん
ものすごい勢いでかたっぱしから領土を攻め取ること。
また、転じて、ものすごい勢いで、自分の勢力範囲に収めること。
「世界を席捲する」
席(=ムシロ)を巻く意から。「席巻」とも書く。
《字源》
「捲/*kronʔ/, /*krons/, /*ɡron/ZZ」は、声符「卷/*[k](r)o[n]ʔ/BS、/*kronʔ/ZZ」と義符「手」から成る形声字。
「卷」は、声符「龹()/*kons/」+義符「卩(ひざまずく人の象形)」で、「捲」の初文。
:「」の楚文字。両手で飯を捏ねて丸める形という(会意)。
:「」の説文篆文。
《字体》
手書きの楷書では上部の点々の向きは「ハ」ではなく「ソ」とするのが一般的なので、旁の「」は「」と書くのが標準。
『漢字字体整理案』
大正8年
「」の部分は似た形の「巳」に書かれることが通用していたらしく、大正8年の『漢字整理案』や昭和13年の『漢字字体整理案』に常用すべき許容字体として採用されている(「危」「厄」も同様)。
「」を「己」と書くのは、おそらく明治ぐらいからみられ、「巻」「圏」「倦」なども同様(『俗字略字』)。
『俗字略字』
(黒柳勲)
明治43年刊行
「巻」「圏」は当用漢字・常用漢字の新字体として採用されている。
明治期頃には「」は「巳」「己」と混同して書かれていたと思われる。