17画 (12) 準1級

交換略字


[音] ソウ
[訓] こしき

《意味》

こしき。せいろうを上に重ねて、下から火を燃やし、蒸気で穀物を蒸す器具。

【甑】こしき

弥生時代以降、米・豆などを蒸すのに用いた道具。底に数個の湯気を通す小穴を開けた深鉢形の土器。湯釜の上にのせて用いる。奈良時代頃から木製も現れた。のち、円形・方形の木製の蒸籠(せいろう)にとって代わられた。
《甑に坐するが如し》こしきにざするがごとし
こしきの中に座っているように、蒸し暑い。夏のきびしい暑さのこと。
《甑を堕として顧みず》こしきをおとしてかえりみず
あきらめのよいことのたとえ。
後漢の孟敏(もうびん)が、こしきを落としてふりむきもしないので、郭林宗(かくりんそう)がその訳を聞くと、壊れてしまったものを見ても何にもならない、と答えたことから。

【甑塵釜魚】そうじんふぎょ

非常に貧しいことのたとえ。
非常に貧しく長い間炊事をしていないので、こしきに塵が積もり、釜に魚がわくということ。
「魚」はぼうふらの説がある。
「甑中塵を生じ、釜中魚を生ず」の略。
笵冉生塵(はんぜんせいじん)

《字源》

声符はで、(こしき)の形。
「甑」の元の形である。
「八」は湯気が立ち上る形。
:左から「曽」の金文・篆書。

《字体》

「曾・曽」の部分は、晋の王羲之の頃から手書きでは「曽」と書かれることが一般的。
手書きの楷書では「曾」で書かれた例はほとんど見られない。
「曾・曽」に従う「憎」「増」「僧」「層」「なども同様。

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