【此】 6画 (2) 準1級


[音]
[訓]
  これ
 
  ここ

《意味》

  1. これ。この。ここ。近くの事物を表す指示代名詞。
  2. かく。このように。

【此く】かく

このように。こう。
「ツァラトゥストラは此く語りき」

【此奴】こいつ

この人。この物。
憎しみ、軽蔑、または親しみをこめた呼び方。
「此奴に任せられない」「此奴はおいしい」
「こやつ」とも読む。

【此処・此所・此】ここ

  1. 話し手が、自分の現に居る、または自分に最も近い関係にある場所を指し示す語。
    この場所。「此所に来て」
  2. 話し手が、現に話題としている場面を指し示す語。「此所でちょっと一休み」
  3. 話し手が、現に話題として取り上げている事柄、または取り上げようとしている事柄を指し示す語。「此所が重要な点です」
  4. 現在を中心にした時間。「此所2~3日が正念場です」
「是」「茲」「維」などとも書く。

【此度】こたび

このたび。今度。今回。

【此方人等】こちとら

自分たち。われわれ。また、自分。おれ。
「自分」「自分たち」をぞんざいにいう語。

【此方】こちら

  1. 自分に近いところ。「此方まで来てください」
  2. 自分。「此方が書いておきます」
  3. 自分の近くにいる人。「此方が母です」

【此の】この

  1. 話し手に近い事物を指し示すことば。また、今述べた物・事柄、または、これから述べようとしている物・事柄を指すことば。「此の事は内緒にしてください」
  2. 現在からさかのぼったその期間の意を表す。最近の。「此の月曜から仕事だ」

【此】これ

  1. 近称の指示代名詞。話し手にとって近い物事をさし示す言葉。
    「此が私のだ」
  2. 人代名詞的に自分の身内をさす、他称の謙譲語。
    「此が私の母です」
  3. 話や文章の中で、直前に取り上げられた人物や事物をさす言葉。
    「引っ越しの計画をしたが、此は白紙になった」
  4. 提示された主題について、それを改めて主語や目的語として指定する言葉。主題を強調し、また言葉の調子を整える。
    「思想および良心の自由は、此を侵してはならない」
・是」とも書く。

【此岸】しがん

生死の悩みや迷いのある世界。この世。
此土(しど)
彼岸(ひがん)

【此君】しくん

竹の異名。このきみ。
晋の王徽之(おうきし)が竹を愛して「なんぞ一日も此君なかるべけんや」と言った故事による。

【此土】しど

この世。此岸(しがん)

【彼方此方】あちこち

  1. いろいろの場所をさす語。あちらこちら。あっちこっち。ほうぼう。「彼方此方に散らばる」
  2. 物事が食い違うこと。順序が入り乱れること。あちらこちら。あっちこっち。「話が彼方此方になる」

【彼此】あれこれ

あれとこれ。あれやこれや。さまざま。
「彼此と詮索する」「彼此買ってくる」
「ひし」とも読む。
「かれこれ」と読めば、別の意味もある。

【彼此】あれこれ

あれとこれ。あれやこれや。さまざま。
「彼此と詮索する」「彼此買ってくる」
「彼是」とも書く。

【彼此】かれこれ

  1. 彼此(あれこれ)」に同じ。
  2. それに近くなっていることを表す。おおよそ。約。「彼此3年になる」
  3. 言動がいくつかのものごとに及ぶ様子。なんのかの。あれやこれや。とやかく。「彼此口出しするな」
「彼是」とも書く。

《字源》

声符は「止(し)
ここでの「ヒ」「牝」の女性器をかたどった記号的なもの(「牡」「土」は男性器)。
「此」はこれに声符「止」を加えた形声字で、「雌」の初文。
と同声で、代名詞の近称として用いる。
「此」の甲骨文字。

《字体》

初唐標準字体はで、『康煕字典』が「此」を正字とするまで、手書きの楷書ではこの字体で書かれてきた。
『康煕字典』の序文「御製康煕字典序」にも書かれている字体。
「此」を含む、「雌」「紫」「柴」「砦」「」「疵」「眦」「髭」なども同様。
の筆順の例。
現在はと書くのが一般的だが、つくりも(か)ではなく(ひ)と、カタカナの「ヒ」と同様に書くのが正しい
:1画目は左から右へ。最終画もはねない。
「止」の最終画と(ひ)の1画目を左から右へと続けて書いた字がである。

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