【冴】7画 (5)  準1級

旧字

基本字【冱】


[音]
[訓] える

《意味》

  1. さえる。氷のように澄みわたる。
  2. こおる。こごえるように冷たい。

【冴え返る】さえかえる

  1. 光・音などが澄み切る。
    「冴え返った冬の月」
  2. 春になってから、寒さがぶり返す。
  3. 厳しく冷え込む。
「冱え返る」とも書く。

【冴える】さえる

  1. 寒さがきびしくなる。また、冷え冷えと感じる。
  2. 月・星などの光が、寒空に澄んで見える。
     「冴えた月の光」
  3. 音が澄んだひびきをもって、はっきりと聞こえる。
     「笛の冴えた音色」
  4. 色があざやかに感じられる。鮮明である。特に、顔色などが生き生きとする。
     「空の青が冴える」
  5. 頭がはっきりする。頭脳が明晰である。
    1. 頭の働きがするどくなる。
      「朝のうちは頭が冴えている」
    2. 〈「目が冴える」の形で〉神経が興奮して、ねむけがなくなる。
      「目が冴えてなかなか眠れない」
  6. 技術・腕前などが、きわだってあざやかである。
     「腕が冴える」
  7. 〈「冴えない」の形で〉物事が暗く沈んで引きたたない。物足りない感じで気がめいるようである。ぱっとしない。
    「冴えない男だ」
「冱える」とも書く。

《字源》

もともと「冱」の誤字による俗字で、日本語での特別な意味の「さえる」の意味がついた。
「冱」の方が基本字なので、「冴」を使った熟語は存在しない(と思う)。

《字体》

『同文通考』
(新井白石)
1760年
1716年『康煕字典』にはで載っていて、543年『玉篇』からの引用で「冱」の俗字とあるが、「冴」は載っていない。
「冴」は、1760年刊行の『同文通考』(新井白石)に載っていて、「冱」の俗字である譌字(かじ)(誤字)とある。
(にすい)と(さんずい)も、しばしば交換して異体字の関係になる。
この頃には、「冴える」という形で、日本に通用していたと思われる。

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