【曽】 12画 (8)  2級

旧字【曾】


[音] ソウ
ゾウ
[訓] かさなる
かつ
すなわ

《意味》

  1. かつて。これまで「曽遊」「未曽有」
  2. かさなる。かさねる。かさなり。「曽祖父」
  3. すなわち。
  4. ます。上に重ねてふやす。

【曽て】かつて

  1. 過去のある時に。以前。
    「曽て会ったことがあります」
  2. {打ち消しの語をともなって}
    今まで全く(~ない)。今まで一度も(~しない)。
    「曽てない大惨事」
て」とも書く。

【曽参殺人】そうしんさつじん

たとえ嘘でも、同じことを繰り返し言われると、ついにはそれを信じるようになるというたとえ。
「曽参人を殺す」が書き下し文。
孔子の門人で親孝行で名高い曽参と同姓同名の者が人を殺したとき、ある人が曽参の母親に「曽参が人を殺した」と告げたが信じなかった。しかし、三度同じことを告げられたとき、母親は織りかけの(はた)を放り出して逃げ出したという逸話から。
「曽母投杼」
「三人虎を成す」「市に虎あり」

【曽祖】そうそ

祖父の父母。曽祖父母。特に祖父の父。ひいおじいさん。

【曽祖父】そうそふ

祖父母の父。ひいおじいさん。
「ひいじじ・ひおおじ」とも読む。
「曽祖母」

【曽祖母】そうそぼ

祖父母の母。ひいおばあさん。
「ひいばば・ひおおば」とも読む。
「曽祖父」

【曽孫】そうそん

孫の子。ひまご。
「ひまご・ひいまご・ひこまご・ひこ」とも読む。

【曽母投杼】そうぼとうちょ

「曽参殺人」
「杼」は織機の部品の一つ。縦糸の間を左右に滑らせて横糸を織り込むための舟形の道具。

【曽遊】そうゆう

以前に訪れたことがあること。かつて来たことがあること。
「曽遊の地」
遊」

【木曽】きそ

長野県の南西部、木曽川沿いの渓谷地の称。木曽谷。

【古今未曽有】ここんみぞう

昔から今まで、あったためしがないこと。「未曽有」を強めた語。
「古今未曽有の大地震」

【白檜曽】しらびそ

マツ科の常緑高木。本州中北部の高山に群生し、高さ20メートルに達する。樹皮は灰白色、葉はモミに似るが、短く密につく。雌雄同株。六月頃開花し、まつかさに似た実がつく。材は建材・パルプなどに利用する。シラベ。
植物園へようこそ!シラビソ

【前古未曽有】ぜんこみぞう

昔から今までに一度もなかったこと。前例が全くないこと。古今未曽有。
「前古未曽有の大災害」
「空前絶後」「前代未聞」

【未曽有】みぞう

これまでに一度もなかったこと。いまだかつてないこと。
特に重大なことなどに言う。
「未だ曽つて有らず」の意。
「未曽有の事件」
「古今未曽有」「前古未曽有」

《字源》

(こしき)の象形で、の元の字。「八」は湯気が立ち上る形。累層するものの意に用いる。
「かつて」「すなはち」など副詞的に用いるのは仮借の用法で、そのように使うようになったので、をつけてを「こしき」の意とした。
:左から「曽」の金文・篆書。

《字体》

「曾・曽」の部分は、晋の王羲之の頃から手書きでは「曽」と書かれることが一般的。
手書きの楷書では「曾」で書かれた例はほとんど見られない。
「曾・曽」に従う「憎」「増」「僧」「層」「」「なども同様。

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