減画略字【】
[音] | ト |
[訓] | かき |
《意味》
【堵に安んず】とにやすんず
人民が住居に安心して住む。安心して暮らす。また、安心する。
垣根の内に安んじている意から。
「安堵」
【堵の如し】とのごとし
垣をめぐらしたように、まわりに多くの人が集まることのたとえ。
【堵列】とれつ
横に並んで立つこと。また、その隊列。
【阿堵物】あとぶつ
銭の異名。阿堵。
中国、晋・宋時代の俗語で「このもの」の意。晋の王衍が「銭」の語を忌んで代用したという。
【安堵】あんど
【環堵】かんと
【環堵蕭然】かんとしょうぜん
家が非常に狭くて、みすぼらしいさま。
「環堵」は家の周囲を囲む垣根のこと。または、狭い家のこと。「蕭然」は物寂しいさま。
「環堵之室」「家徒四壁」
【茅堵蕭然】ぼうとしょうぜん
茅葺 きの垣根が物寂しいさま。転じて田舎家。
「茅堵」は茅葺きの垣根。「蕭然」は物寂しいさま。
《字源》
声符は「者(しゃ)」。
「者」は、祝詞を入れた器「曰(えつ)」に枝を重ね、土を示す小点を加えた形。
小枝を交え、土をかけた形で、「曰」を土中に埋める意。
「者」は「堵」の初文で、集落の周囲にめぐらした土垣。
その「堵」をめぐらせた集落を「都」といい、堵中に埋めた呪符の字を「書」という。
「書」は「者」に「聿(いつ)(筆)」を加えた形。
「堵」に呪符の「書」を書いた「曰」を埋めて外から邪霊が入ってこないようにした。
:「者」の金文。
:「書」の金文。「者」の上に「聿(いつ)(筆)」を加えた形。
《字体》
「」の部分は、常用漢字の字体と同様に、点を省いた「者」のように書くのが隷書の時代から主流で、手書きの楷書では点をつけたものは歴史的にも皆無。
「堵」も同様で、「」と書いても問題ない。