【蕃】 15画 (12) 準1級


[音] バン
  ハン
[訓] しげ
  える
  まがき
  えびす

《意味》

  1. しげる。草木が生い茂る。ふえる。「繁」に書き換えられるものがある。
  2. まがき。かきね。かこい。「藩」に当てた用法。
  3. えびす。未開の異民族。「蛮」に書き換えられるものがある。

【蕃る】しげる

草木が重なり合うようにして生える。

【蕃椒】とうがらし

ナス科の一年草。また、その果実。秋に紅熟する果実は辛味が強く、乾燥して香辛料・薬用にする。
「唐辛子・唐子」とも書く。

【蕃南瓜】とうなす

カボチャの別名。
狭義には西洋カボチャの渡来以前に栽培されていた(ひょうたん)形のカボチャをいう。なんきん。
Wikipediaカボチャ

【蕃トマト

ナス科の一年草。果実は円形・扁円形などで、熟すと甘くなる。
Wikipediaトマト
もと、外国を意味する「番」と、茄子(なす)の「」からなるが、日本での表記は「蕃茄」となった。

【蕃瓜樹】パパイヤ

パパイア科の常緑高木。果実は洋梨形、または長楕円形。黄熟し、果肉は厚く甘みがある。
Wikipediaパパイヤ

【蕃書調所】ばんしょしらべしょ

江戸時代末期に設置された、幕府の洋学教育と外交文書翻訳の機関。
明治政府に引きつがれてからは開成学校となり、さらに東京大学へと発展した。
「蕃書」は西洋の書籍や文書の呼び名。特に、オランダの書物をいう。
Wikipedia蛮書和解御用

【蕃殖】はんしょく

動物・植物が生まれてふえていくこと。生殖によって生物の個体数がふえること。
「繁殖」に書き換えられる。

【蕃人】ばんじん

  1. 未開人。えびす。蛮人(ばんじん)
  2. 外国人。
  3. 台湾の漢民族以外の先住民に対する第二次大戦前までの中国および日本側での呼称。

【蕃族】ばんぞく

文明の開けていない民族。
「蛮族」に書き換えられる。

【蕃はんぶ

草木が盛んに茂ること。また、そのさま。
「蕃」は「繁」とも書く。

【蕃布】ばんぷ

台湾の麻織物。

【蕃茉莉】ばんまつり

ナス科の常緑低木。観賞用に温室栽培する。
植物園へようこそ!バンマツリ

【蕃茘枝】ばんれいし

バンレイシ科の半落葉低木。果樹として熱帯各地で広く栽培される。果実は径約10センチメートルの卵球形の集合果。果肉はクリーム状で甘く、生食する。
Wikipediaバンレイシ

【熟蕃】じゅくばん

  1. 教化されてよく帰順した蛮人・先住民。
    生蕃(せいばん)
  2. 第二次大戦前の日本の統治時代、台湾の高山族のうち、漢族に同化していたものに対して用いた呼称。

【生蕃】せいばん

  1. 教化に服しない原始的な先住民。
    熟蕃(じゅくばん)
  2. もと台湾の高砂族の中で、原始的な生活を営んでいた先住民を指していった呼称。

【吐蕃】とばん

七世紀初めから九世紀中頃まで、ラサを都とする今のチベット地方にあった統一王国の、中国での呼び名。
Wikipedia吐蕃王朝
ここから「蕃」に外国、外国人の意味が生じた。

《字源》

声符は「番(ばん)
「番」(ばん)(獣の(つめ)の形)と「田」(獣の掌の形)から成る象形。
掌の肉を「膰」という。
機敏に動くものの意があり、また、交代・順次の意がある。
:左から「番」の金文・篆書。
「番」の古文の篆書。
「蕃」の金文。

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