【豹】 10画 (3) 1級

同字


[音] ヒョウ
[訓]  

《意味》

猛獣の名。ネコ科の哺乳類。トラに似てやや小さく、背に黒い斑点がある。ヒョウ。

(ひょう)()して(かわ)(とど)め、(ひと)()して()(とど)む】

豹でさえ死んで美しい毛皮を残す。人も死後に名誉を残さねばならぬというたとえ。〔新五代・王彦章〕
日本では「(とら)()して(かわ)(とど)む」と、豹が虎になっている。

豹変ひょうへん

  1. 豹の模様のようにはっきりと、あやまちを改め善に移ること。改善。
    君子(くんし)豹変(ひょうへん)す」より。君子は豹の皮衣の黒と黄の模様がはっきりしているように、あやまちを改めて善にうつるものだ、という故事から。
  2. [日本]態度などが急に変わること(善にも、悪にもいう)。

【豹文・豹紋】ひょうもん

ヒョウの毛皮のまだら模様。また、そのような美しい模様。

【豹脚蚊】やぶか

カ科ヤブカ属の総称。
Wikipediaヤブカ
蚊」とも書く。

豹】あざらし

アザラシ科の哺乳動物の総称。
Wikipediaアザラシ

【管中豹】かんちゅうきひょう

見識の非常に狭いたとえ。
管の穴から豹を見る意で、一つの斑しか見えないことからいう。
全豹一(ぜんぴょういっぱん)」、「蠡測(かんきれいそく)」、「以管(いかんきてん)」、「之見(かんきのけん)

【君子豹変】くんしひょうへん

君子は潔く過ちを改めるということ。
転じて、人が態度や意見を急にがらりと変えること。
「君子」は教養や徳の高い人、人格者のこと。「豹変」は豹の体の毛のまだら模様が鮮やかに変化するさま。
もともとはいい意味で用いられたが、現在では、無節操のたとえとして悪い意味で用いられることが多い。
君子(くんし)豹変(ひょうへん)す、小人(しょうじん)(おもて)(あらた)む」]『易経(えききょう)(かく)より。→「豹変

【全豹一班】ぜんぴょういっぱん

物の見方が狭量であること。物事のある一部分だけを見て、全体を批評すること。
「全豹」は豹全体のこと。「一斑」は豹の体にある斑点模様の中の一つの斑点。
豹の体にある一つの斑点で豹全体を言うという意味。
管中(かんちゅうきひょう)」「蠡測(かんきれいそく)」、「以管(いかんきてん)」、「之見(かんきのけん)

《字源》

ヒョウの象形文字。
「勺」の部分はヒョウの斑がある状態を表し、「勺(しゃく)」とは声も義も異なる。
:「豹」の甲骨文字。
:「豹」の金文。
:「豹」の説文篆文。

《字体》

「勺」の内部の点は、開成石経標準(正字)では「一」だが、手書きでは隷書の時代より「丶」で書かれている。
手書きの楷書では「丶」で書いて差し支えない。
「勺」を含む「的」「豹」「灼」「杓」なども同様。

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