【淵】 12画 (9) 準1級

意符書換字【渕】


[音] エン
[訓] ふち
ふか
  おくぶか

《意味》

  1. ふち。水の深くたまったところ。
  2. 深いさま。奥深く静まりかえる。
  3. 物が多く集まる所。

【淵源】えんげん

物事の起源であり、根本をなすもの。根源。
「教育の淵源」

【淵・淵えんそう

物事の多く寄り集まる所。中心として栄えている所。
(ふち)」には魚が集まり、「(やぶ)」「(くさむら)」には鳥や獣が集まることから。

【淵】ふち

  1. 川などの、水を深くたたえてよどんでいる所。「瀬」
  2. 容易に抜け出ることのできない苦しい境遇。「絶望の淵に沈む」
「潭」とも書く。

【淵瀬】ふちせ

  1. 流れの水の深くよどんだ所と浅い所。
  2. 世の中のありさまの絶え間ない移り変わりのたとえ。

【海淵】かいえん

海溝の中の特に深い部分。

【深淵】しんえん

  1. 深いふち。
  2. 奥深さや限界が底知れないことのたとえ。「悲しみの深淵」
《深淵に臨むが如し》しんえんにのぞむがごとし
一歩間違えば取り返しがつかない事態になるような非常に危険な立場にあるたとえ。

【寸指測淵】すんしそくえん

愚かなこと。不可能な行為のたとえ。
短い指で(ふち)の深さを測る意から。
寸指(すんし)もて淵を測る」が書き下し文。

【積水成淵】せきすいせいえん

小さなものでもたくさん集まれば大きな力になるということ。努力を重ねれば物事が成就するということ。
少しの水でも集まると淵になる意から。
積水(せきすい)淵を成す」が書き下し文。
積羽沈舟(せきうちんしゅう)」「積土成山(せきどせいざん)」「群軽折軸(ぐんけいせつじく)」「叢軽折軸(そうけいせつじく)

【池魚故淵】ちぎょこえん

望郷の念のこと。また、旅人が故郷を思い懐かしむこと。
池に飼われる魚は、故郷の淵を懐かしむ意から。
馬北風(こばほくふう)」「越鳥南枝(えっちょうなんし)」「死首丘(こししゅきゅう)

【天淵の差】てんえんのさ

物事の隔たりが甚だしく大きいことのたとえ。
雲泥(うんでい)の差」「霄壌(しょうじょう)の差」「天淵氷炭(てんえんひょうたん)」「天懸地隔(てんけんちかく)」「雲泥万里(うんでいばんり)

【天淵氷炭】てんえんひょうたん

差が甚だしいことのたとえ。
氷と炭、天と地ほどの差があること。
雲泥(うんでい)の差」「霄壌(しょうじょう)の差」「天淵(てんえん)の差」「天懸地隔(てんけんちかく)」「雲泥万里(うんでいばんり)

【臨淵羨魚】りんえんせんぎょ

望みを達成するには有効な手段を考えるべきだということ。いたずらに空しい望みを抱くたとえ。
池のそばに立って(のぞ)き込んでいるだけでは魚は手に入らないので、家に帰って網を作れ、という意味から。
(ふち)(のぞ)んで(うお)(うらや)む」が書き下し文。

【涙淵】るいえん

悲しみの涙の深さを(ふち)にたとえた語。
《涙淵に沈む》るいえんにしずむ
ひどく嘆き悲しんで泣く。

《字源》

声符は(えん)
は水が回流する形で、「淵」の元の字。

《字体》

「淵」のつくりの内部が複雑なので、それを「米」に省略した「渊」が異体字として存在します。
ごちゃごちゃと複雑な部分を「米」にまとめちゃう省略はよくあります(「齒→歯」「數→数」「斷→断」のように)。
さらに、「米」の部分を「关」に、の左はらいを「关」の右側に移動して「刂」のように変化させた異体字が「渕」です。

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