【輿】 17画 (10) 準1級


[音]
[訓] おお
  くるま
こし
せる
はじ
めしつかい

《意味》

  1. こし。車軸の上に置いて、その上に人や物をのせる台。転じて、人や物をのせて、かついで運ぶ乗り物。「肩輿」
  2. かつぐ。のせる。なん人かが手をそろえてかつぎあげる。また、手輿(たごし)にのせてかつぐ。
  3. 万物をのせる台。すなわち大地。「輿地」「坤輿(こんよ)」。
  4. みんなが力をそろえるさま。みんなの。多い。「輿論」「輿望」。

【輿】こし

  1. 昔の乗り物の一つ。屋形の中に人をのせ、下にとりつけた二本の(ながえ)をかついで運ぶもの。
    貴人の乗り物であった。
  2. みこし。神輿(しんよ)

【輿入れ】こしいれ

嫁に行くこと。嫁入り。
嫁の乗った輿を婿(むこ)の家にかつぎ入れることから。

【輿人】よじん

  1. こしをかつぐ人。輿丁。
  2. 車の台をつくる職人。
  3. 雑役夫。
  4. 多くの人々。衆人。

【輿図】よず・よと

  1. 〔よず〕世界を描いた地図。「輿地図」の略。
  2. 〔よと〕領土。

【輿地】よち

大地。全地球。全世界。
「輿」は万物をのせる物の意。

【輿丁】よちょう・よてい

こしをかつぐ人。かごかき。輿人。
「丁」は下働きの男の意。

【輿馬風馳】よばふうち

非常に速いことのたとえ。
「輿馬」は乗り物と馬の意。「風馳」は風のように馳せる、風のように速く走る意。

【輿望】よぼう

世間一般の人から受ける期待。
「輿望を(にな)う」
衆望(しゅうぼう)

【輿論】よろん

世間で一般に行われている議論。世間の人々に共通した意見。世論。
世論(よろん)」で代用することもあるが、これは「輿論」の言い換え語「世論(せろん)」を書き換え語と混同して用いるようになった表記。

【輿論調査】よろんちょうさ

〔一定の方法で〕ある社会問題について、一般大衆の意見を調査すること。
世論調査(せろんちょうさ)

【御神輿】おみこし

  1. 「みこし」の丁寧・尊敬語。
  2. 〔すわったときの〕腰。
    「御神輿をすえる」「御神輿をあげる」
    腰のすわったようすを輿の安定したようすに見立てるとともに、「輿」を「腰」にかけたしゃれ。

【権輿】けんよ

〔物事の〕はじまり。おこり。起源。
中国で、はかり(衡)をつくるときはおもり(権)からはじめ、車をつくるときは車の底(輿)からはじめるところから。
濫觴(らんしょう)

輿】こんよ

大地。
大地が万物をのせるのを輿(車)にたとえたことば。
」も大地の意。

匠輪輿】ししょうりんよ

大工のこと。
梓人は建具師、匠人は木工職人、輪人は車輪をつくる職人、輿人は車台をつくる職人。

【神輿】しんよ

みこし。
「みこし」とも読む。

【玉の輿】たまのこし

  1. 〔身分の高い人の乗る〕(玉でかざった)美しく立派なこし。
  2. 「玉の輿に乗る」の略。「女氏なくして玉の輿」

【玉の輿に乗る】たまのこしにのる

〔身分のひくい〕女性が結婚することによって、急に富貴の身分になる。
富貴の身分の人と結婚する。
玉の輿「1.」に乗って嫁する意から

【神輿・御輿】みこし

祭りのときなどに、神体・神霊をのせて運ぶための輿。神輿(しんよ)。おみこし。
《御輿を上げるみこしをあげる
落ち着いているのをやめて、行動しはじめる。
御神輿(おみこし)
《御輿を担ぐ》みこしをかつぐ
他人をおだてあげる。
《御輿を据えるみこしをすえる
ゆったりとすわり込んで動かない。
御神輿(おみこし)

《字源》

「車(よ)
「舁」は左右上下から手で物を持つ形。
「輿」四偶に手をかけて手車を担ぐ形。
ちなみに「与(與)」は象牙二本を組み合わせた形であるを左右上下の手で捧げている形。
現在の字形(新字体)は左右上下の手が省略されて「与」となっている。
さらに下に「手」を加えると「挙(擧)」となり、挙げ運ぶ意となる。
「興」は酒器である「同」を左右上下の手で捧げ持つ形で、酒で地霊を喚び起こすのが字の原義。
「舁」の篆書。上下左右より手を加えて、ものをもちあげる形。
「與(与)」の篆書。上下左右からを持つ形。
:左から「輿」の甲骨文字・篆書。

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