減画略字【僣】
[音] | セン |
[訓] | なぞらえる |
おごる |
《意味》
おごる。身分不相応なことをする。また、そのさま。驕り高ぶる。
【僭越】せんえつ
言動が自分の身分や力をわきまえず、出過ぎていること。
自分の行為について言えば謙譲の気持ちを表す。
「僭越ですが」
【僭主】せんしゅ
【僭称】せんしょう
自分の身分を超えた称号を勝手に名乗ること。また、その称号。
「皇帝を僭称する」
【僭賞濫罰】せんしょうらんばつ
適正を欠いた賞罰。みだりに賞罰を与えること。度を超して恩賞を与えたり、人に刑罰を処すること。
「僭賞」は度を超して恩賞を与える。「濫罰」はやたらと罰する。
「濫罰」は「濫刑」ともいう。
「信賞必罰」
【僭上】せんじょう
身分不相応なまねをすること。身分を越えておごりたかぶること。
「僭上の振る舞い」
【僭用】せんよう
分限を超えて使用すること。
《字源》
声符は「(しん)」。
「」は「(しん)=簪(かんざし)+曰」。かんざしを、祝詞を収める器「曰」の上に加えて人を密かに呪詛する意。節度や次序を誤る意になる。
ちなみに「潛」(「潜」の旧字体)は、「」の密かに実行する意から、水を潜行することをいう。
《字体》
許容字体の「僣」は、常用漢字「潜(潛)」の略し方に併せた略字で、使用例はあまりない。
「」→「替」(「僭」「潜」)の略し方は、「贊」→「賛」(「賛」「讃」)の略し方に倣ったものだろうが、後者は伝統的にあるが、前者は少数派。
手書きの楷書では「」と書くのが一般的。