【鑿】 28画 (20) 1級


[音] サク
[訓] のみ
うが

《意味》

  1. のみ。木や石などに穴をあける道具。「鐫」
  2. うがつ。物に穴をあける。のみでほる。
  3. うがつ。物事の奥をかんぐる。奥底までつきとめたさま。うがった。

【鑿つ】うがつ

  1. 穴をあける。掘る。つきとおす。つきぬく。
  2. みだりに臆測する。せんさくする。
穿つ」とも書く。

【鑿岩機】さくがんき

岩石に小さな穴をあける機械。圧縮空気や電気を動力として、直径数センチの深い穴をあける。
「削岩機」で代用されることもある。

【鑿歯尺牘】さくしせきとく

晋の名文家、習鑿歯(しゅうさくし)は、手紙を往復させて議論することが得意であったということ。
手紙で論議することに優れていること。
「鑿歯」は晋の習鑿歯(しゅうさくし)のこと。「尺牘」は手紙、書簡のこと。

【鑿井】さくせい

石油や地下水などの採取・探査のために、地中深く穴を掘ること。ボーリング。

【鑿窓啓牖】さくそうけいゆう

いろいろな意見を学び、見聞を広げること。
「鑿窓」は窓を作る。「牖」は木の窓。窓を作って開け外光をたくさん取り入れる意から。
(まど)(うが)(まど)(ひら)く」が書き下し文。

【鑿壁偸光】さくへきとうこう

苦学することのたとえ。
「鑿壁」は壁に穴をあける。「偸」は盗むこと。壁に穴を開けて隣家の光を盗んで学ぶ意。
前漢の匡衡(きょうこう)は貧しくて油が買えず、灯火をともすこともできないので、壁に穴をあけて隣家の灯光で読書したという故事から。
匡衡(きょうこう)鑿壁(さくへき)

【鑿開】さっかい

穴を掘りあけること。また、切りひらくこと。

【鑿】のみ

木材・石材・金属などに穴をあけたり、溝を刻んだりするのに用いる工具。
《鑿と言えば槌》のみといえばつち
様々なことに気が利くことのたとえ。
「鑿をくれ」と言われたら、鑿を打つのに使う槌も同時に差し出す意から。
《鑿に鉋の働きはなし》のみにかんなのはたらきなし
どれほどすぐれた道具でも、その用途以外には使えないということ。適材適所をいう。
鑿は鋭利で優れた道具だが、、鉋のように木材を平らに削る機能を持たないの意から。

【円鑿方枘】えんさくほうぜい

物事がうまくかみ合わないことのたとえ。
「円鑿」は丸い穴、また丸い穴を開けること。「方枘」は木材を相手の穴にはめるときの四角い突起部。
丸い穴に四角いほぞを入れようとする意から。
方枘(ほうぜい)円鑿(えんさく)円枘(えんぜい)方鑿(ほうさく)枘鑿(ぜいさく)相容(あいい)れず」ともいう。

【枘鑿相容れず】ぜいさくあいいれず

二つの物事が食い違っていて融和しないことのたとえ。

穿鑿】せんさく

  1. 穴をあけること。
  2. 細かい点までうるさく尋ねて知ろうとすること。小さな点までとやかく言うこと。
    「他人の行動を穿鑿する」
    (せんさく)

【丁公鑿井】ていこうさくせい

世間のうわさは信用できないということ。
「丁公」は人名。「鑿井」は井戸を掘る。
中国春秋時代、宋の丁公が井戸を掘って水汲み一人の手間を省いたことを、世間では井戸の中から人を一人得たと誤って伝えたという故事から。
丁公(ていこう)(せい)(うが)つ」が書き下し文。

【開鑿】かいさく

山野を切り開いて、運河や道路などを通すこと。
「開削」で代用されることもある。

【斧鑿の痕】ふさくのあと

自然のままにしておかずに、人工を加えたあと。特に、詩文などに技巧をこらしたあと。
斧や鑿を使って細工したあとの意。

《字源》

声符は(さく)で、は掘鑿の道具である(さく)を手にとって穴を開けること。その道具を「鑿」という。

《字体》

複雑な構成の字のため、楷書の歴史上いろんな異体字があるが、左上をに作る字体が多い。
初等標準字体はに作る
の最終画は書きやすさと美しさの要請によりしばしば省略されて書かれてきた。
これに限らず「齒」はへんになると最終画がしばしば省略される。

【≪戻る】【トップページへ戻る】【進む≫】