日本銀行の旧館は「円」でできている?!
 
 右の写真(グーグルアース)は日本銀行旧館です。
明治29年に完成した西洋式建築物で、国の重要文化財にも指定されています。
よ~く見ると何かの漢字に見えませんか??
そう、「円」です。
日本銀行の建物が「円」だなんて洒落(しゃれ)ているじゃありませんか!?
フジテレビの「トリビアの泉」でも紹介されて、関係者のコメントで、「建物ができたのが明治29年。当時は「円」ではなく、旧字体の「圓」が使われていた。常用漢字が制定されてお札に「円」を使うようになったのは昭和25年だから、偶然です。」というような旨のことを言っていたのを覚えています。
 
はたして偶然でしょうか??
 
まず、「圓」という漢字について。
声符は「員(えん)で、「員」は丸い形の(かなえ)
「貝」の部分が「鼎」の省略形で、「口」の部分が鼎の入り口が丸いことを示しています。
つまり、「員」だけで「まるい」意味を表していましたが、「員」が他の意を表すようになったので、外周の「口」を加えて「圓」になりました。
「圓」の中身「員」は音とともに意味をも含んでいるのです。
 
しかし、さらさらっと書きたいとき結構煩わしかったりします。
昔の人も煩わしく感じたのでしょうか?
平安時代から「員」の部分を「|」のように崩して書き、さと書いていました(空海の書にも見られます)。
そしてさらに、書きやすくするため時代とともに下の「一」がだんだん上にせり上がっていきました。
それに伴って「|」が短くなります。
「|」が短くなるほど筆記の速度が上がるのです。
 
こうして現在の「円」になりました。
というわけで、日本銀行の旧館ができる前から「円」という字は存在していたことになります。
もしかしたら、この建物を設計した人物はねらって設計したのかもしれませんね。
 
 

参考書籍:「日本の漢字 (岩波新書)」笹原宏之著
 

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