[音] | シ |
[訓] | この |
これ | |
かく | |
ここ |
《意味》
【此く】かく
このように。こう。
「ツァラトゥストラは此く語りき」
【此奴】こいつ
この人。この物。
憎しみ、軽蔑、または親しみをこめた呼び方。
「此奴に任せられない」「此奴はおいしい」
「こやつ」とも読む。
【此処・此所・此】ここ
「是」「茲」「維」などとも書く。
【此度】こたび
このたび。今度。今回。
【此方人等】こちとら
自分たち。われわれ。また、自分。おれ。
「自分」「自分たち」をぞんざいにいう語。
【此方】こちら
【此の】この
【此】これ
「之・是」とも書く。
【此岸】しがん
生死の悩みや迷いのある世界。この世。
「此土」
「彼岸」
【此君】しくん
竹の異名。このきみ。
晋の王徽之が竹を愛して「なんぞ一日も此君なかるべけんや」と言った故事による。
【此土】しど
この世。此岸。
【彼方此方】あちこち
【彼此】あれこれ
あれとこれ。あれやこれや。さまざま。
「彼此と詮索する」「彼此買ってくる」
「ひし」とも読む。
「かれこれ」と読めば、別の意味もある。
【彼此】あれこれ
あれとこれ。あれやこれや。さまざま。
「彼此と詮索する」「彼此買ってくる」
「彼是」とも書く。
【彼此】かれこれ
「彼是」とも書く。
《字源》
声符は「止(し)」。
ここでの「ヒ」は「牝」の女性器をかたどった記号的なもの(「牡」の「土」は男性器)。
「此」はこれに声符「止」を加えた形声字で、「雌」の初文。
「之」と同声で、代名詞の近称として用いる。
:「此」の甲骨文字。
《字体》
初唐標準字体は「」で、『康煕字典』が「此」を正字とするまで、手書きの楷書ではこの字体で書かれてきた。
『康煕字典』の序文「御製康煕字典序」にも書かれている字体。
「此」を含む、「雌」「紫」「柴」「砦」「些」「疵」「眦」「髭」なども同様。
:「」の筆順の例。
現在は「」と書くのが一般的だが、つくりも「(か)」ではなく「(ひ)」と、カタカナの「ヒ」と同様に書くのが正しい
:1画目は左から右へ。最終画もはねない。
「止」の最終画と「(ひ)」の1画目を左から右へと続けて書いた字が「」である。