【糞】 17画 (11) 準1級


[音] フン
[訓] くそ
  けが
  はら
  つちか

《意味》

  1. くそ。大便。「屎」
  2. けがれ。きたないもの。
  3. はらう。ごみをはらいのける。よごれをとり除く。

【糞】くそ

  1. 肛門から出る、食物のかす。大便。便。うんこ。
  2. 分泌したものや、物のかす。
    接尾語的に使う。
    「耳糞」
  3. ~など全くない。
    「~も糞もない」の形で用いる。
  4. 人を強くののしるとき、自分を奮起させようとするとき、くやしいときなどに発する語。くそっ。
  5. 「度の過ぎた」「はなはだしい」などの意を表す。
    「糞真面目」「下手糞」
「屎」とも書く。

【糞味くそみそ

  1. 価値のあるものとないものの見きわめがつかず、同等に扱うさま。
    「天才も凡人も糞味噌に扱う」
    「味噌も糞も一緒」の意から。
  2. 全くくだらないものとして、悪くいうさま。ぼろくそ。さんざん。みそくそ。
    「糞味噌に(けな)す」
「味噌糞」ともいう。

【糞掃衣】ふんぞうえ

僧の衣のこと。
(ふん)(ちり)のように捨てられたぼろ布を洗い、つづって作ったことからいう。

【糞土】ふんど

  1. 汚い土。腐った土。
  2. 役に立たないもの、けがらわしく卑しむべきもののたとえ。
《糞土の牆は杇るべからず》ふんどのしょうはぬるべからず
性根のしっかりしていない怠け者は教育しても効果がないということ。
腐った土の壁は、もとがしっかりしていないから、()げ落ちても塗り直すことができない意から。
朽木糞牆(きゅうぼくふんしょう)
「杇」は漢検配当外の漢字。

【糞尿】ふんにょう

大便と小便。大小便。

【朽木糞土】きゅうぼくふんしょう

意欲や素質のない者は教育するのが難しいことのたとえ。
また、役に立たないものや、手の施しようのないもののたとえ。
「朽木」は腐った木。「糞土」はぼろぼろになった土。
腐った木は彫ることができず、ぼろぼろになった土壁は上塗りできないという意から。
朽木糞牆(きゅうぼくふんしょう)」「朽木(きゅうぼく)(ざい)
「朽木は()るべからず、糞土(ふんど)(しょう)()るべからず」

体糞】けったくそ 

「卦体」を強めていう語。いまいましいこと。けたくそ。けったくそ。
「卦体糞が悪い」
「けたくそ」とも読む。

【人糞】じんぷん

人間が排泄(はいせつ)した大便。

【脱糞】だっぷん

大便をすること。

【猫糞】ねこばば

悪いことをして、あとをごまかして知らん顔をすること。
特に、拾った物をだまって自分のものにすること。
「猫糞を決め込む」
猫が糞に泥をかけて隠すことからという。

【自棄糞】やけくそ

自分の思い通りにならないため、前後のみさかいなく乱暴な(無茶な)振る舞いをすること。
「自棄」を強めていう語。

《字源》

(はん)+(きょう)
「米」()(くそ)の形、は長い柄のある塵取(ちりと)り、「廾」は両手。
両手で塵取り押して(ちり)を掃除することをいう。
「糞」の篆書。

《字体》

「異」の初唐標準字体は」「で、それを含む「糞」「翼」「」「戴」なども同様。
「異」の字体はまれで、『康煕字典』以降正字に採用され、以後の漢和辞典でも正字とされる。
現在手書きではと書くのが一般的。

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