【贖】 22画 (15) 1級


[音] ショク
[訓] あがな
あがな

《意味》

あがなう。物と物とを交換する。金品を出して罪を免れる。

【贖児】あがちこ

陰暦6月と12月の大祓(おおはらえ)に用いた人形(ひとがた)
人にかわって罪をあがなう稚児の意から。

【贖う】あがなう

罪の償いをする。
「死をもって罪を贖う」

【贖物】あがもの

  1. (はらえ)の際に、身の汚れや罪を代わりに負わせて川などに流す装身具や調度品。形代(かたしろ)
  2. 罪のつぐないとして出す物。

【贖罪】しょくざい

  1. 金品を出したり、善行を積んだりして、犯した罪をつぐなうこと。また、刑罰を免れること。罪滅ぼし。
  2. キリスト教で、人々の罪をあがない、人類を救うために、キリストが十字架にかかったとする教義。和解。

【贖しょくゆう

ローマカトリック教会で、キリストと諸聖人の功徳により教会から罪の償いに対して与えられるゆるし。
罪のすべてが免除される場合とその一部のみが免除される場合とがある。免償。

《字源》

「贖(/*Cə.lok/BS/*ɦljoɡ/ZZ)は声符(イク/*luk/BS/*luɡ/ZZ)の形声字。
金文では「贖」の意味でが用いられ、売買を意味する(「贖」の初文で本義は売買)。
()」は声符(の古文)(/*mr[uk]/BS/mluɡ/ZZ)と義符「貝」から成る。
()」の金文。声符+目)」と義符「貝」から成る。

《字体》

部分の、「士」「土」「四」と書くのが、初唐標準字体(伝統的な楷書の字体)。
さらに「売」と略するのは、草書体をもとに楷書体化されたもの。
江戸時代の『同文通考』(新井白石)、『倭楷正訛』(太宰春臺)などに載っていることから、宋・元時代の略字が日本の江戸時代ぐらいまでに伝わって使われていたと思われる。
『精選唐宋千家聯珠詩格』より
を含む「讀(読)」「續(続)」「なども同様。
ちなみに、「うる」意の「賣(ばい)「売」に略するのは、と字形がほぼ同じため同じ略字になったもの。
江戸時代の『同文通考』『倭楷正訛』などに載っていないが、室町時代末期の『精選唐宋千家聯珠詩格』の写本(右図)には確認できる(『当用漢字の新字体』(山田忠雄))ので、その頃には伝わってはいた模様。

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