【搔】 13画 (10) 準1級

交換略字【掻】


[音] ソウ
[訓]

《意味》

  1. かく。つめでひっかく。
  2. さわぐ。せかせかとさわぐ。「騒」に当てた用法。

【搔い潜る】かいくぐる

  1. 狭い隙間を素早く通り抜ける。
  2. 危険なところをうまく通り抜ける。「爆弾の雨を搔い潜る」

【搔敷】かいしき

神饌(しんせん)(神への供物)に敷くカシワやナンテンなどの木の葉や紙。
「皆敷」とも書く。

【搔い出す】かいだす

中のものを搔くようにして外へ出す。とくに、水などの液体をくみ出す。「池の水を搔い出す」

【搔い摘む】かいつまむ

話の内容の要点やあらましをとらえる。
多く「かいつまんで」の形で用いる。
「経過を搔い摘んで話す」

【搔取】かいどり

  1. 着物の(つま)を引き上げること。
  2. 婦人の礼服の一つ。帯を締めた上からうちかけて着る長小袖(ながこそで)。うちかけ。

【搔いで】かいなで

表面にふれた程度で、深くは知らないこと。通りいっぺん。
「搔い撫での知識」

【搔い掘り】かいぼり

魚などをとるために、池・堀などの水をすっかりくみ出すこと。

【搔巻】かいまき

寝具の一つ。薄く綿をいれた、(そで)付きの小型の夜着(よぎ)。掛け布団の下にはだ掛けとして用いる。肩の部分の保温によい。

【搔揚げ】かきあげ

てんぷらの一種。貝柱、さくらえび、こまかく切ったねぎ・にんじんなどの材料をころも(小麦粉・卵・水)と一緒にかきまぜて油で揚げたもの。

【搔く】かく

  1. 手の指や先のとがったもので物の表面をこする。「頭を掻く」「寝首を搔く」
  2. 物の表面をこするようにして、はらいのけたり、よせ集めたりする。とくに、水を押し分けて進む。
    「雪を掻く」「熊手で落ち葉を掻く」
  3. こするようにしてこねまぜる。「芥子(からし)を搔く」
《慣用》「汗を搔く」「寝首を搔く」「恥を搔く」

【搔っ】かっ

動詞に付いてその動作を強める接頭語。
「掻っ(さば)く」「搔っ(ぱら)う」「掻っ(さら)う」「搔っ穿(ぽじ)る」など。

【搔爬】そうは

体内の組織の一部を器具を用いてかきとること。特に、子宮内膜疾患の際に行われる。
「抜歯窩を搔爬する」

【搔痒・搔癢】そうよう

かゆい所をかくこと。

【足搔く】あがく

  1. 馬などが前足で地面をかく。
  2. じたばたする。もがく。
  3. 苦しみなどから抜け出そうと気をもむ。あくせくする。

【御搔】おかき

「かきもち」の丁寧語。主に関西で用いる。

【隔靴搔痒】かっかそうよう

思うようにならず、じれったいこと。もどかしいこと。はがゆいこと。
「隔靴掻痒の感」
「靴を隔てて痒きを搔く」が書き下し文。
「麻姑搔痒」

【麻搔痒】まこそうよう

物事が思い通りになること。
「麻姑」は中国の仙女。美しく、手の爪が長く、鳥のようだったといわれる。
後漢の蔡径(さいけい)が、麻姑という仙女(せんにょ)の爪の長いのを見て、(かゆ)い所をかいてもらったらさぞ気持ちがいいだろうと思ったことから。
「孫の手」の「孫」は、もともと「麻姑」で、形も鳥の爪のようだった。
「麻姑を(やと)うて(かゆ)きを()く」ともいう。
隔靴搔痒(かっかそうよう)

【藻搔く】もがく

  1. 苦しがって手足をやたらに動かす。
  2. 何とかしようとあせって懸命になる。いらだってじたばたする。
「踠く」とも書く。

【湯搔く】ゆがく

野菜などのあくをぬくため熱湯につける。熱湯をくぐらせる。

《字源》

声符は「蚤(そう)「蚤」の声符は「㕚(そう)
「㕚」「又(ゆう・手)の間に(つめ)があることを示し、「爪」と同字。
「蚤」は昆虫のノミの意だが、「爪」に通じて「ツメ・ツメで掻く」意がある。
「爪」は名詞、「掻」は動詞という関係。
「㕚」の甲骨文字。

《字体》

初唐標準字体はで、長い時代この形で書かれてきた。
唐代正字(開成石経標準字体)のとは点の位置が異なる。
を含む「騷(騒)」「搔」も同様で、常用漢字では点がすべて省かれる。

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