甲骨文字から漢字を学ぶ。- その1 甲骨文字とは
 
 漢字の先祖が甲骨文字であることは歴史の授業などで習ったことはあると思いますが、具体的に現在の漢字との関連性を知っている人は少ないんじゃないでしょうか??
 
 甲骨文字は3000年あまり以前の中国の王朝(いん)の後期(紀元前1300年)に用いられた文字で、文字通り、カメの甲羅や牛の肩胛骨(けんこうこつ)に彫られた文字です。
 ちなみに、日本はまだ縄文時代でしたが、殷ではすでに青銅器なども使用されていました。
 
 甲骨文字は、貴族が甲骨を用いた占いごとの結果をその甲骨に記録したもので、内容は祭祀(さいし)、軍事行動、天候、厄災、収穫など。
 つまり、甲骨文字は民衆の物ではなく、貴族が神との交信を記録したシャーマニズムの結果を表す神聖な文字でした。
 
 故白川静博士が、当時の風習や考え方を元に漢字の字源の解明を試みました。
 このサイトでは主に白川字説に則って字源解説をしています。
 
 しかし、甲骨文字は発見されてから100年しかたっておらず、研究もまだまだ途中です。
 それまで字源の権威は、『説文解字』(西暦100年)という後漢時代に作られた字典で、分析対象は秦の始皇帝の定めた篆書(紀元前221年)。
 当然、甲骨文字の存在は知らなかったわけで、甲骨文字の分析を進めるに従って『説文』の間違いがわかってきました。
 
 この漢字はどういう由来でこんな形になったんだろう?って思ったとき、甲骨文字と比べてみると結構おもしろかったりします。
 
 例えば「王」という字。
 『説文』には「天地人三才を貫く」意を示すものとしてます。
 つまり、一番上の横線が天、真ん中の線が人、一番下の線が地で、その真ん中を縦線が貫いていて、そのように天地人を貫くものが王であると説いています。
 それは篆書がとなっているからですが、甲骨文字では、それより少し後の金文ではで、刃の部分を下にした(まさかり)の形。
 鉞は裁量権の象徴で、それは王が為すことであったので、王の象徴となったわけです。
 実際に、実用的でない飾りがたくさん付いた豪華で大きい鉞が出土しています。
 
 このように漢字の意外な由来で当時の時代背景をかいま見ることができ、漢字を覚えるのも楽しくなるのではないでしょうか??

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