準1級配当漢字の中に常用漢字が密かに含まれている謎。
 
 お題の意味がわからないと思いますが・・・。
 準1級・1級ともに、常用漢字が出題されないわけではなく、「常用漢字+新たに配当される漢字」が出題範囲です。しかし、ここで言うのはそういったことでなく、準1級のみで配当されてる漢字の中に、実は常用漢字の異体字が含まれているということなのです。
 これは配当の目安が、JISの漢字規格を基準としているからです。JISの漢字規格はコンピューターなどで情報交換をするために定められたものです。
  • 準1級
     常用漢字「秋」の異体字で、許容字体として「穐」もあります。「龝」の方が古く、「穐」はその俗字。「亀(カメ)を含むので縁起がよい字とされ、歌舞伎の「千穐楽」に使われます。
    よく使われるので、JIS第1水準に入り漢検準1級配当になる。
      
  • 「襍」1級
     常用漢字「雑」の異体字で、実はこっちが本字。「説文解字」に載ってる方は「雜」で、「雑」の旧字体(正字)。「雜」の左上にある「衣」を上下的にキュッと縮めた形。「襍」の左側は言わずと知れた「ころもへん」で、もちろん「衣」。つまり、どちらも「衣隹」で構成されていて、それが組み変わっただけの関係です。このような漢字を「動用字(どうようじ)」または「異構(いこう)」といいます。「雑」「雜」の左上部分「九」に略したもの。字源は異なりますが「粹粋」のように略したのをまねた略し方です。
     
  • 「裡」準1級
     実はこれも「動用字」で、常用漢字「裏」の異体字です。「裏」は、「衣」のように上下に分割し、間に「里」をサンドウィッチした形です。「裏」の部首が「衣」であるのはそのためです(「里」が声符の形声文字)。つまり「衣里」となります。「裡」「衣里」。同字なのですが、現在では「裏」を「うら」、「裡」を「うち」と読んで使い分けることがしばしば見られます。
     このような動用字は他にも「峰・峯」「島(㠀の略字)・嶋・嶌」などがあります。
     
  • 「宍」準1級
     常用漢字「肉」の異体字で俗字です。「宍」は「宍戸錠(ししどじょう)」や「宍道湖(しんじこ)」のように人名や地名によく用いられるため、JIS漢字に入ってるのでしょう。もちろん両方とも音読みは「ニク」で訓読みは「しし」ですが、「肉」を「ニク」、「宍」を「しし」と、読みによって使い分けてることが多いみたいです。
 他にもあると思いますが、これらは読み問題でよく出てきます。

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