【其】 8画 八(6) 準1
《意味》
- その。それ。人や物を指す語。
- それ。語気を強めたり語調を整えたりするために添える助字。
【其奴】そいつ
- 三人称。聞き手に近い人を指す語。指す相手をののしる気持ちを含めて使う。
「其奴が犯人だ」
- 中称の指示代名詞。その物。その事。それ。
「其奴はしくじったな」
「そやつ」とも読む。
【其処・其所】そこ
- 話し手が、自分から少し離れていて、より相手に近い関係にあると意識している場所を指し示す語。その場所。
「其処にある本を取って下さい」
- 話し手が、相手と共通に話題にしているある場所を指し示す語。その場所。
「まっすぐ行くとポストがあるので其処を右に曲がる」
- 話し手が、相手と共通に話題にしているある場面を指し示す語。
「其処でちょうど彼がやってきた」
- 話し手が、相手と共通の話題として取り上げ(ようとし)ている事柄を指し示す語。その点。そのこと。
「其処が重要な問題なんです」
【其処彼処】そこかしこ
あちこち。あちらこちら。ほうぼう。
【其方此方】そちこち
あちらこちら。ほうぼう。
「其方此方にゴキブリがいる」
【其方】そちら
- 相手のいる方向や場所。そこ。
「其方へ伺います」
- 相手の近くにあるもの。それ。
「其方をください」
- あなた。その人。
「其方の言うとおりでございます」
「そっち」とも読む。「1.」「3.」は「そなた・そち」とも読む。
【其方退け】そっちのけ
構わないでほうりっぱなしにしておくこと。相手にしないこと。そちのけ。
「勉強其方退けで遊ぶ」
【其方】そなた
- そちら。そちらの方。中称の指示代名詞。
- 目下の相手をよぶ語。おまえ。なんじ。その方。二人称。
「そち・そちら」とも読む。
【其の】その
- 話し手からは離れていて、聞き手に近い関係にある物事をさし示す。
「其の車は誰のですか」
- 相手または自分がすぐ前に話したことや、お互いに了解している事柄であることを示す。
「其の話は内緒だ」
- ばくぜんと物事を指し示す。
「其のあたりでやめておいたほうがいい」
- 言葉につまったり、言い淀んだりした時につなぎに発する語。そのう。
「ええと、其の、つまり・・・」
【其文字】そもじ
女性が目下の相手を呼ぶ語。そなた。あなた。
「そなた」の文字詞。中世以降女性が用いた。
【其(れ)】それ
- 話し手が、自分から少し離れていて、より相手に近い関係にあると意識している物を指し示す語。
「其れを取ってください」
- 話し手が、共通の話題として取り上げ(ようとし)ている事柄を指し示す語。その事。
「其れはいつの事ですか」
- 話し手が、相手と共通の話題にしているある時を指し示す語。その時。
「其れ以来口をきかない」
- 前に言ったことばをすぐそのあとでくり返すときの代わりに用いる語。
「其れについては後日伺います」
【其(れ)其(れ)・夫(れ)夫(れ)】それぞれ
二つ以上の人や物事の一つ一つ。めいめい。おのおの。
「其其で確認してください」
「銘銘」「各」「個個」「各自」「逐一」「個別」
【其(れ)限(り)・其(れ)切(り)】それきり
- それで最後。それかぎり。それっきり。
「彼とは其限になってしまった。」
- それで全部。それだけ。それっきり。
「所持金は其限だ」
《字源》
「其」は「箕(み)」の初文で、その象形。「箕」はその形声字。
「其」が代名詞・副詞に使われるようになって、「箕」が作られた。
:「其」の甲骨文字。
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