異体字【填】
[音] | テン |
[訓] | ふさぐ |
ふさがる | |
うずめる | |
うずまる | |
はめる |
《意味》
【塡まる】うずまる
「埋まる」とも書く。
【塡足】てんそく
不足を補うこと。補充。
【塡塞】てんそく
うずめふさぐこと。いっぱいに満ちふさがること。
【塡補】てんぽ
不足したり欠けたりしているところをうずめ補うこと。補塡。穴うめ。
「小遣いから足りない分を塡補する」
【塡める】はめる
「嵌める」とも書く。
【塡ぐ】ふさぐ
「塞ぐ」とも書く。
【充塡】じゅうてん
物を詰めて、欠けた所や隙間などを埋めること。
「虫歯を金属で充填する」
【精衛塡海】せいえいてんかい
無謀なことを企てて力を費やし、ついに徒労に帰するたとえ。
また、いつまでも悔やみ続けること。
「精衛」は海辺に棲むという古代中国の想像上の小鳥の名。
中国古代伝説上の皇女が海で溺れ死んでしまう。精衛という小鳥に化身して、小石や小枝をくわえては海をうずめようとしたが、とうとうその功はなかったという伝説から。
「精衛海を塡む」が書き下し文。
【装塡】そうてん
中に詰め込んで準備すること。特に、銃砲に弾丸をこめること。
「弾丸を装塡する」「フィルムを装塡する」
【補塡】ほてん
足りない部分を補ってうめること。
「会社の借金を何とか補填する」
【門巷塡隘】もんこうてんあい
門前などに人がいっぱい詰めかけること。
「巷」は門前の小道。
門と巷が人でうずまって狭くなることから。
「門巷塡集」
《字源》
声符は「眞(真)(しん)」。「眞」は「七(か)」(化=死者)と「県」(縣=首を逆さにした形)から成り、行き倒れの死体を意味する。行き倒れの死体は激しい怨念を持つものとして恐れられ、その怒り(瞋)を柔らげるために、丁重に塡(うず)められ、その霊を鎮(しず)めた。
《字体》
「眞」の部分は、常用漢字採用の字体「真」で書くのが、隷書の頃からの主流。
手書きの楷書では、「塡」も「填」と書いて差し支えない。
2010(平成22)年告示の常用漢字表に「塡」が追加されたが、旧常用漢字表の「真」に合わせて「填」を標準字体とするべきであろう。