[音] | シ |
[訓] | かき |
《意味》
カキ。果樹の名。また、その実。
【柿】かき
カキノキ科の落葉高木。秋に多肉の液果を結び、熟して黄赤色となる。甘柿と渋柿があり、甘柿には富有柿・次郎柿など多くの栽培品種がある。渋柿は干し柿などにする。
Wikipedia「カキノキ」
【柿渋】かきしぶ
渋柿の実をしぼってとる液。防水・防腐剤として、木・紙・布などに塗る。
【転柿】ころがき
ほしがき。特に、小さくて丸いほしがき。
「枯露柿」とも書く。
【熟柿】じゅくし
よく熟して柔らかくなった柿の実。
【渋柿】しぶがき
熟しても渋い味のする柿。しぶぬきをしたり、干し柿にしたりする。
【樽柿】たるがき
あいた酒樽に渋柿を詰め密閉し、樽に残るアルコール分によって渋を抜き、甘くしたもの。たるぬき。
《字源》
本字は「」で声符は「(し)」。
「市(し)」を部分に持つ「柿」「姉」の本字「」「」は「」を声符としている(市場の「市」とはまた別の系統)。
一方、「はい」音を持つ「沛(はい)」のつくりは「巿(はい)」(真ん中の縦の線は上部の一を1画で貫いている)。
「市(し)」と「巿(はい)」は大変字形が似ているので要注意だが、それを持つ漢字の音によって判断できる。
ただし「肺(はい)」だけは「市(し)」をつくりに持つ異体字が現代では正式な字で例外になっているが、本字は「巿(はい)」がつくり。
《字体》
「姉」の「(し)」の部分は、唐代の手書きの楷書ではすでに「」の形で略されているのが主流で、「」と書かれているものはほとんどない。
「沛」「肺」「旆」の「巿(はい)」は、4画目で真ん中を縦画で貫く「」の形。
ただし「肺」は南宋初代皇帝宋高宗の行書に「」の形で見え(おそらく間違えた)、「市」「姉」と合わせて字体を整理したのか、それが常用漢字に採用されている。
「柿」と形の似ている「杮(こけら)」は、声が「はい」なので、「巿(はい)」系統である。
結果、常用漢字にある「市」「姉」「柿」「肺」はすべて「」の形に従い、その他の「沛」「旆」「杮(こけら)」は「」の形に従うことになる。