【冀】 16画 ハ(14) 1級
[音] | キ |
[訓] | こいねがう |
《意味》
ねがう。こいねがう。心でそうなってほしいと思う。
【冀求】ききゅう
はげしく願い求めること。こいねがうこと。
「世界平和を冀求する」
「熱望」「切望」
「希求」とも書く。
【冀望】きぼう
あることをかなえたいと願い望むこと。また、その望み。
「希望」とも書く。
【冀う】こいねがう
強く希望する。切に望む。
古風な言い方。
「希う」「庶幾う」とも書く。
自分の欲望のまま、好き勝手に振る舞うこと。
臣下が権力を握り、我が物顔で振る舞うこと。
「梁冀」は後漢の将軍の名。「跋扈」は好き勝手に振る舞うこと。
後漢の将軍梁冀は、権勢を振るい、幼いながらも聡明な質帝に「跋扈将軍」とあだ名されて、これを恨み、帝を毒殺した故事から。
「跳梁跋扈」「横行跋扈」「飛揚跋扈」
《字源》
「鬼」の正面形である「異」に、角形の頭飾のある形で、座している。
:「冀」の金文。「北」の部分は頭飾である。
《字体》
「異」の初唐標準字体は「」「」で、真ん中の縦画が貫いている。
それを含む「糞」「翼」「冀」「戴」なども同様。
「異」の字体はまれで、『康煕字典』で正字に採用される。
さらに、「冀」は「北」の部分を(、)に略して「」「」と書かれるのが隷書時代より標準で、上が「北」になってる字例はほとんどない(北宋の米芾の行書)。
金文を見るとわかるが、字源にあるとおり「北」とは関係なく、『説文解字』の篆書と解釈が間違っている。
「北」より「(、)」の方が、字源に沿っているといえる。
『康煕字典』は『説文解字』の篆書に準拠しているため「冀」を正字とし、後の漢和辞典もそれに続くことになる。
「冀」を含む「驥」なども同様。
現在は「」と書くのが一般的で、「北」のつくりも、手書きの楷書では「(か)」ではなく「(ひ)」と、カタカナの「ヒ」と同様に書くのが正しい。