【枉】 8画 (4) 1級


[音] オウ
[訓] がる
げる
げて
むじつのつみ
むだ

《意味》

  1. まげる。まがる。まっすぐな線や面をゆるやかな曲線をなすようにおしまげる。また、道理をおしまげる。
  2. まげて。面子を無理におしまげて~してくださった、との意を表す丁寧な言葉。
  3. 無実の罪。

【枉おうが

相手の来訪を尊敬していう語。御来駕(ごらいが)
「枉駕の栄に浴す」
「枉車」「枉顧」
わざわざ、駕を()げて(=乗り物の方向を変えて)来る意から。

【枉来臨】おうがらいりん

わざわざお越しいただきまして、ということ。人の来訪に対して敬意を表す語。
「駕を枉げて来臨す」が書き下し文。

【枉屈】おうくつ

  1. 体をかがめ、謙虚な態度で来訪すること。
  2. 道理をまげて人を押さえつけること。

【枉顧】おうこ

相手の来訪を尊敬していう語。御来駕(ごらいが)
「枉車」「枉賀」
貴人がわざわざ乗り物の方向を変えて自分の方を顧みる意から。

【枉死】おうし

罰せられたり、思いがけない事故にあったりして死ぬこと。非業の死。
「無念の枉死を遂げる」
「横死」とも書く。

【枉尺直尋】おうせきちょくじん

大きな利益を得るために小さな犠牲を払うこと。
「尺」も「尋」も長さの単位で、一尋は八尺。一尺を()げて八尺をまっすぐにするという意から。
(せき)()げて(じん)(なお)くす」が書き下し文。
因小失大(いんしょうしつだい)」「貪小失大(たんしょうしつだい)

【枉法】おうほう

法をまげて解釈すること。都合のよいように法をまげて適用すること。

【枉法徇私】おうほうじゅんし

規則をまげて私利私欲にはしること。
「法を()げて私に(したが)う」とも読む。

【枉げて】まげて

無理に都合をつけて。しいて。是が非でも。相手に願うときに使う。
「この件、枉げて御承知下さい」
「曲げて」とも書く。

【枉げる】まげる

  1. ある意図に基づいて、事実や規則をゆがめる。
    「法を枉げる」
  2. 自分の主義・主張をむりに変える。気持ちなどを抑える。
    「本心を枉げて従う」
「曲げる」とも書く。

枉】えんおう

無実の罪。冤罪。ぬれぎぬ。
「冤枉を(そそ)ぐ」「冤枉を晴らす」

を枉げる】がをまげる

身分の低い者を、貴人がわざわざ訪問する。
転じて、「訪問する」「来訪する」の尊敬語。

枉過直】きょうおうかちょく

物事を正そうとしても度を超えてしまえば、かえって新たな偏向や損害を招くたとえ。
曲がったものを直そうとして力を入れすぎて逆の方向に曲がる意。
(まが)れるを()めて(なお)きに()ぐ」
矯枉過正(きょうおうかせい)」「矯角殺牛(きょうかくさつぎゅう)」「葉傷枝(ひようしょうし)

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