【礪】 19画 石(14) 準1級
異体字【砺】
[音] | レイ |
[訓] | あらと |
とぐ | |
みがく |
《意味》
【礪】あらと
刃物を荒く研ぐのに用いる質の粗い砥石。
【礪く】みがく
粗い砥石で刃物を研ぐ。
「厲く」とも書く。
【礪山帯河】れいざんたいが
永遠に。何があっても。
「山」は泰山、「河」は黄河を表す。
泰山が砥石のように小さく磨り減り、黄河が帯のように細くなる時までの意から。
永遠に変わらない誓いを立てる際の言葉に使われる。
また、国が永遠に栄えること。
「河山帯礪」「山礪河帯」「帯厲の誓い」とも言う。
【淬礪】さいれい
【砥礪】しれい
【鏃礪括羽】ぞくれいかつう
学識を磨いて、世に役立つ人材になること。
「鏃礪」は鏃(矢の先端に付ける尖ったもの)を研ぐこと。「括羽」は矢筈(矢をつがえるところ)と羽毛の意。
竹に研いだ鏃を付けて、矢筈と羽を付けて鋭い矢にすることから。
【磨礪】まれい
《字源》
声符は「厲(れい)」。
「厲」は「厂(かん)+萬」。
「萬」は猛毒を持つサソリ(蠆)のような虫の形。
「厂」は崖下などの秘密の場所。
「厲」は、そのような場所で、この虫を蠱毒として呪術を行うことを原義としていると思われる。
「はげしい・きびしい・わるい」意を持ち、その呪術によって生じる病を「癘」という。
また、「厲」には砥石の意がある。
《字体》
常用漢字では「萬」を「万」と書くので、「厲」も「」に略される。
常用漢字の「励」も同様の変換で、「勵」がもとの旧漢字(いわゆる康煕字典体)。
「礪」「蠣」などは表外漢字なのでそのままだが、「砺」「蛎」に略されることも多い。
「厲」→「」の異体字は1753年刊行の『倭楷正訛』(太宰春台)や1760年刊行の『同文通考』(新井白石)にすでに見えるので、江戸中期には日本国有の異体字として一般的用いられていたと思われる。
:『倭楷正訛』(太宰春台)
:『同文通考』(新井白石)