【顚】 19画 (10) 準1級

異体字【顛】


[音] テン
[訓] いただき
たおれる
くつがえ

《意味》

  1. いただき。頭のてっぺん。転じて、山や物の上のはし。
  2. 物の先端。また、はじめ。「顚末」
  3. たおれる。たおす。さかさまになる。頭のてっぺんを地につける。
    「転」に書き換えられるものがある。

【顚】いただき

一番高いところ。頂上。てっぺん。

【顚れる】たおれる

  1. さかさまになる。ひっくり返る。
  2. 転ぶ。

【顚越不恭】てんえつふきょう

道を外れて、君主の命令を軽んずること。
「顚越」は転がり落ちる、転じて道から外れていること。「不恭」はうやうやしくないさま。

【顚蹶】てんけつ

つまずき倒れること。また、失敗すること。

【顚墜】てんつい

ころげ落ちること。顚落。

【顚倒】てんとう

  1. ひっくりかえる(かえす)こと。
  2. さかさまになる(する)こと。
    「本末顚倒だ」
  3. びっくりしてうろたえること。
    「気が顚倒する」
「転倒」と書き換えられる。

【顚動】てんどう

驚いて平静さをなくすこと。度を失うこと。動顚。

【顚沛】てんぱい

  1. つまずき倒れること。
  2. わずかな時間。とっさの場合。つかの間。
    「造次顚沛」

【顚沛流浪】てんぱいるろう

つまずき倒れながらさまよい歩くこと。
「顚沛」はつまずいて倒れること。
「顚沛流離」(「流離」は故郷を遠く離れて他の土地をさまよい歩くこと。)

【顚覆】てんぷく

  1. 車両・船舶などがひっくり返ること。また、ひっくり返すこと。
  2. 政府などの大きな組織体が倒れ滅びること。倒し滅ぼすこと。
    「長年にわたる独裁政府がついに転覆した」
「転覆」に書き換えられる。

【顚撲不破】てんぼくふは

動かし破ることが出来ないこと。学説などにいう。
天下の断案。
覆しても打っても破れないほど強い意。

【顚末】てんまつ

物事の始めから終わりまでの事情。一部始終。いきさつ。始末。
「首尾」「経緯」

【冠履顚倒】かんりてんとう

上下の順序が逆になっていること。
「冠履」はかんむりとくつのこと。
冠履倒易(かんりとうえき)」「冠履倒置」

【怪顚】けでん

非常にびっくりすること。驚くこと。

【山顚】さんてん

山のいただき。山頂。
「山巓」とも書く。

【造次顚沛】ぞうじてんぱい

つまずき倒れるわずかの間。非常に短い時間。とっさの場合。瞬間。
「造次」は急にあわただしくなるさま。「顚沛」はつまずきひっくり返ってうろたえるさまで、転じて、とっさの場合や危険なときのこと。
「造次顚沛もおろそかにしない」

【動顚】どうてん

ひどく驚いて平静さを失うこと。度を失うこと。
「気が動顚する」
「動転」と書き換えられる。

【廃忘怪顚】はいもうけでん

うろたえること。狼狽、当惑してあわてふためくこと。

《字源》

声符は「眞(真)(しん)
「眞」(か)(化=死者)と「県」(縣=首を逆さにした形)から成り、顚死者(行き倒れの死体)を意味する。
行き倒れの死体は激しい怨念を持つものとして恐れられ、その怒り()を柔らげるために、丁重に(うず)められ、その霊を鎮(しず)めた。

《字体》

「眞」の部分は、常用漢字の字体「真」で書くのが、隷書の頃から一般的。
「顚」も手書きの楷書では「顛」と書くのが普通。

【≪戻る】【トップページへ戻る】【進む≫】