【膏】 14画 (10) 準1級


[音] コウ
[訓] あぶら
える
うるお
めぐ

《意味》

  1. 白い肉。あぶらののった肉。肉のあぶら。
  2. 白いあぶら肉のある心臓の下部。「膏肓」
  3. 半ねり状の薬。「軟膏」
  4. めぐみ。恩沢。うるおす。あぶらをさすようにうるおし、そそぎかかる。「膏雨」
  5. あぶらぎった。また、土地がこえているさま。「膏沃」

【膏】あぶら

人間や動物の体からにじみ出てくる液体。脂肪。
「脂」とも書く。特に肉のあぶらを「膏」と書くことがある。

【膏汗】あぶらあせ

苦しいときになどににじみ出る脂肪分の混じった汗。
「膏汗がにじむ」
「脂汗」とも書く。

【膏雨】こうう

農作物をうるおし育てる雨。ほどよいしめり。
甘雨(かんう)」「慈雨(じう)

【膏火自煎】こうかじせん

自分自身の才能によって災いをまねくことのたとえ。
あぶらは自分自身が燃えてなくなってしまうことから。
」は()る、焼くの意。

【膏血】こうけつ

苦労して得た正当な利益。
人体の脂と血の意から

【膏血を絞る】こうけつをしぼる

人が苦労して得たものを権力などで取りたてる。重税を課して取りたてる。

【膏肓】こうこう

体の最も奥深い部分で、病気のときに治療が及ばないところ。
治しがたい病気。
「膏」は心臓の下の部分、「肓」は横隔膜の上の部分。

【膏肓に入る】こうこうにいる

深入りする。物事に熱中する。

【膏沢】こうたく

  1. あついめぐみ。恩恵。
  2. 肥えて潤いのある土地。

【膏薬】こうやく

〔外傷・打撲傷・できものなどにつける〕動物のあぶらで練った外用薬。
硬膏と軟膏があり、多く、紙や布にぬりつけてある。

【膏薬張り】こうやくばり

  1. ふすま・しょうじなどの破れを膏薬をはったように紙片などでつくろうこと。また、そのつくろった所。
  2. その場しのぎの処置

【膏こうよく

土地などがよくこえていること。
「肥沃」

膏菜】いしもちそう

モウセンゴケ科の多年草。食虫植物。
Wikipediaモウセンゴケ属
「石持草」とも書く。

【内膏薬】うちまたこうやく

その時の都合次第で、あちらについたりこちらについたりして節操がないこと(人)。
内股にはったこう薬は両方の股にくっつくことから。
二股膏薬(ふたまたこうやく)

【残膏賸馥】ざんこうしょうふく

優れた人物や詩文の形容。
人がいた跡に残る香気の意。
「膏」はあぶら。「賸」は余に同じ。「馥」は香り。
「賸」は漢検配当外の漢字。
遺風余香(いふうよこう)」「遺風残香(いふうざんこう)

【石膏】せっこう

成層岩や粘土層の中に層をなして産する板状または柱状をした白色の結晶。
主成分は含水硫酸カルシウム。
セメントの混材、肥料、白色顔料のほか、焼いて焼石膏として美術・工芸用に使う。

【泉石膏肓】せんせきこうこう

自然や山水の中で暮らしたいという気持ちが非常に強いこと。
「泉石」は流水と石、山水のたたずまい。「膏肓」は体の最も奥深い部分で、病気のときに治療が及ばないところ。治しがたい病気。
俗世を離れて山水の中で暮らしたい気持ちが不治の病のように切なことをいう。

【軟膏】なんこう

薬物を脂肪・ワセリン・グリセリンなどと練り合わせて作った半固形の外用薬。

【絆創膏】ばんそうこう

〔医学〕薬剤・生ゴム・樹脂などをこねあわせたものを布の面に塗ったもの。傷口にはって保護したり、包帯を固定したりするのに用いる。

【二股膏薬】ふたまたこうやく

内股膏薬(うちまたこうやく)

【病膏肓に入る】やまいこうこうにいる

  1. 病気が重くなってなおる見込みがなくなる。
    「膏」は心臓の下の部分、「肓」は横隔膜の上の部分。ともに治療しにくいとされるところ。
    (しん)景公(けいこう) が重病にかかったときみた夢の中で、二童子の姿となった病魔が、名医を避けて、肓の上と膏の下にかくれようとしたという故事から。
    「二
  2. あることに熱中してそこから容易にぬけ出せない状態になる。
    「膏肓に入る」

《字源》

声符は「高(こう)
「高は白骨死体の上部、胸郭より上の骨組みの形。
「膏」は横隔膜のあたりをいう。

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