【鼎】 13画 (0) 準1級


[音] テイ
[訓] かなえ
まさ

《意味》

  1. かなえ。三つの足と二つの耳のある器。もと、鍋や食器として用いたが、のちには王侯の祭器、礼器となった。
  2. 王位のしるし。国に伝わる宝。
  3. かなえの足のように三方に並ぶさま。また、ずっしりと座ったさま。
  4. あたる。まさに。ちょうど~だ。ぴったりあたる。

【鼎】かなえ

  1. 古代中国で湯わかしなどに使った銅器。二つの手と三本の足がついている。
  2. 王位・権威などの象徴。また、王位。
《鼎の軽重を問う》かなえのけいちょうをとう 
権威のある人の実力を疑うこと。また、力を疑ってその地位・評判を奪おうとすること。
周の定王のとき、楚の荘王が、周の王室の宝である九鼎の大小・軽重を問うた。それは鼎の譲渡、すなわち王位の譲渡を意味するので、無礼な振る舞いであったという故事から。
《鼎の沸くが如し》かなえのわくがごとし 
鼎の中の湯がにえたつように、ものごとがさわがしく収まりのつかないようす。
略して「鼎沸」ともいう。

【鼎ていざ

三人が三方から向かい合ってすわること。
三本足の鼎のように座ることから。
「鼎座」とも書く。

【鼎峙】ていじ

三方にそびえたつこと。
「鼎立」

【鼎俎】ていそ

  1. かなえと、まないた。料理の道具のこと。
  2. 死ぬべき運命のたとえ。かなえで煮られ、まないたの上で切られること。
    「鼎俎に(まぬか)れず」

【鼎談】ていだん

三人が向かい合って話し合うこと。三人で会談すること。三人座談。三者会談。
「三国の首相による鼎談が開かれた」

【鼎鐺玉石】ていとうぎょくせき

非常な贅沢をするたとえ。
宝物のかなえを鐺(日用の鍋)のように使い、宝玉を石と同様に見なす意。
「鐺」は両耳三足のかなえの一種で、主に酒を温めるのに用いた。
金塊珠礫(きんかいしゅれき)

【鼎沸】ていふつ

多くの人がやかましく騒ぎたてること。
「鼎の沸くが如し」

【鼎立】ていりつ

三つのもの(勢力)が互いに対立すること。三者対立。
「鼎立する勢力」
鼎峙(ていじ)

尹負鼎】いいんふてい

大望のために身を落とすたとえ。
尹」は中国(いん)代の賢宰相。尹が鼎を背負ってやって来る意。
尹は殷の湯王に仕えるために鼎を背負って料理人として近づき、ついに志を果たして宰相になったという故事から。

【革故鼎新】かくこていしん

古い制度や習慣を改めて新しいものにすること。
「革故」も「鼎新」も古い物事を改めること。
易の六十四の中で、「革去故也、鼎取新也=革は故きを去るなり、鼎は新しきを取るなり」ということから。
「鼎新革故」ともいう。
「革旧鼎新」

【九鼎大きゅうていたいりょ

貴重なもの、重要な地位、高い名声などのたとえ。
「九鼎」は中国()の時代に作られた黄金のかなえ、「大呂」は周の時代に作られた大鐘で、ともに宝器。

【三者鼎談】さんしゃていだん

三人が向かい合って話し合うこと。

【三者鼎立】さんしゃていりつ

三者が別れて並び立つこと。また、三者が互いに勢力を張り合い、三(すく)みの状態をいう。
三分鼎立(さんぶんていりつ)」「三足鼎立(さんそくていりつ)

【鐘鳴鼎食】しょうめいていしょく

富貴の人の生活。
大勢の人に食事の合図として鐘を鳴らし、鼎に盛ったごちそうをたくさん食べる豪奢(ごうしゃ)な生活をする意から。

【大名鼎鼎】たいめいていてい

名前が知れ渡っていること。人気が絶大なこと。
「鼎鼎」は盛んなさま。
名声赫赫(めいせいかくかく)

【筆力扛鼎】ひつりょくこうてい

文章が力強いこと
意気込みに張り詰めた充実感があって、詩文を力強く表現できることのたとえ。
「扛」は持ち上げる。
「筆力鼎を()ぐ」が書き下し文。

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