【杜】 7画 (3)  準1級


[音]
[訓] じる
ふさ
やまなし
もり

《意味》

  1. やまなし。果樹の名。また、その実。山野に自生するばら科の落葉高木。実はかたくしまっている。かたなし。
  2. とざす。とじる。出入り口をしめて中にこもる。また、そのようにする。「杜絶」
    「途」に書き換えられるものがある。
  3. [国訓]もり。神社の森。

【杜若】かきつばた

アヤメ科の多年草。湿地に生える。ハナショウブに似るが葉は幅が広く、中脈は発達しない。初夏、濃青色・白色・斑入りなどの花を開く。
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「杜若」は漢名からの誤用。
子花」とも書く。

【杜夫魚】かくぶつ

カジカ科の淡水魚、カマキリの別称。アユカケともいう。
カジカに似るが、体長は30㎝になる。
Yahoo!きっず図鑑カマキリ
「杜父魚」とも書く。

【杜父魚】かじか

カジカ科の淡水魚。全長15㎝になる。頭と口は大きく、やや扁平のずんぐりした体形。背部は灰褐色で、背面に暗色のまだら模様がある。食用にして美味。北海道南部以南の底が小石で水のきれいな河川に分布。マゴリ。ゴリ。
Wikipediaカジカ
」とも書く。「杜父魚」は漢名から。

【杜衡】かんあおい

ウマノスズクサ科の多年草。山地の樹下に自生。
葉は革質のハート型で、シクラメンに似る。初冬、暗紫色の花をつける。
「杜衡」は漢名からの誤用。
「寒葵」とも書く。
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【杜ずさん

  1. 著作物で、典拠が正確でないこと。誤りが多い著作。
  2. 物事の仕方がぞんざいで手おちの多いこと。
    「杜撰な管理」「杜撰な工事」
中国の詩人杜黙(ともく)の作品に規則はずれが多く、律に合わなかったという故事から。

【杜脱漏】ずさんだつろう

粗末で誤りの多いこと。ぞんざいで誤脱も多いこと。
「杜撰」「杜漏」
杜黙詩撰(ともくしさん)

【杜漏】ずろう

物事がやりっ放しでいいかげんであること。だらしがないこと。また、そのさま。
杜撰と脱漏。
「杜漏な計画」

【杜氏】とうじ・とじ

酒をつくる職人。また、そのかしら。さかとうじ。
醤油(しょうゆ)をつくる職人にもいう。

【杜鵑花】とけんか

サツキの別称。ツツジ科の常緑低木。五~六月ごろ枝先に漏斗状の花をつける。サツキツツジ。(さつき)
ホトトギス(杜鵑)の鳴く頃に咲く花の意から。
Wikipediaサツキ

【杜口】とこう

口をふさぐ。口をつぐんでいわないこと。

【杜絶】とぜつ

  1. ずっと続いていたものが途中でふさがったり切れたりしてたえること。とだえること。
    「通信が途絶する」
  2. ふさぎ絶やすこと。
「途絶」と書き換えられる。

【杜絶える】とだえる

続いていたものが途中で切れてあとが続かなくなる。とぎれる。中絶する。途絶する。
「途絶える・跡絶える」とも書く。

【杜仲】とちゅう

トチュウ科の落葉高木。中国南西部に自生。樹液は少量のグッタペルカを含む。樹皮を干したものを強壮・鎮静・鎮痛薬として用いる。
「杜仲茶」
Wikipediaトチュウ植物園へようこそ!杜仲
「はいまゆみ」とも読む。

【杜黙詩ともくしさん・ともくしせん

詩文や著作などに誤りが多くいい加減なこと。
「杜撰」「杜撰脱漏」「杜漏」
「杜撰脱漏」

【杜翁】トルストイ

ロシアの小説家、思想家。1828年~1910年。
小説は、19世紀後半のロシア社会を描き、リアリズム文学の最高峰とされる。
代表作『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』など。
Wikipediaレフ・トルストイ

【杜松】ねず

ヒノキ科の常緑低木。丘陵地などの日当たりのよい場所に自生。
葉は針状で、三枚ずつ輪生する。果実は球状で黒く熟し、利尿剤とされる。
材は建築・器具用。むろ。むろのき。ねずみさし。
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【杜ぐ】ふさぐ

閉じる。ふたをする。目や口を手でおおう。
「口を杜ぐ」

【杜鵑・杜宇】ほととぎす

ホトトギス科の渡り鳥。背中は灰褐色、腹は白色で黒のまだらがある。
卵をうぐいすの巣などに産む習性がある。
「時鳥・不如帰・子規・田鵑・蜀魂・郭公・霍公鳥・手鳥」とも書く。
Wikipediaホトトギス

【杜鵑草】ほととぎす

ユリ科の多年草。
秋、葉腋に白色で紫斑がある花を1~3個ずつつける。花被片は6個。
ほととぎすそう。
「油点草・郭公花」とも書く。
和名は花の斑を鳥のホトトギスの胸の斑に見立てたもの。
Wikipediaホトトギス属植物園へようこそ!ホトトギス

【杜】もり

神社などのある地で、樹木が多く茂った所。
「鎮守の杜」「杜の都」
一般に使われる「森」に対し、多く神社のそれをいう。

【何れ菖か杜若】いずれあやめかかきつばた

どちらもすぐれていて優劣のきめがたいことのたとえ。選択に迷うことのたとえ。
アヤメもカキツバタも同科の花で区別するのが難しいことからいう。
源頼政が崇徳上皇から菖蒲前(あやめのまえ)をたまわるとき、同じような美女を何人も並べた中から選ぶように命じられて、どれが菖蒲前かわからず困り、「五月雨(さみだれ)に沢辺のまこも水越えて何れ菖蒲と引きぞ(わずら)ふ」と詠んだ歌から転じた。

《字源》

声符は「土(と)
「杜」の甲骨文字。

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