【鬱】 29画 (19)  2級

交換略字【欝】 25画 (21) 準1級


[音] ウツ
[訓] しげ
  ふさ
  さか
  かお

《意味》

  1. しげる。草木がこんもりとしげる。
  2. ふさぐ。ふさがる。気が晴れ晴れしない。
  3. 物事の盛んなさま。

【鬱金】うこん 

  1. ショウガ科の多年草。太い根茎からは黄色の色素がとれ、黄色染料やカレー粉の原料になる。
    Wikipediaウコン
  2. 「1.」や姜黄(きょうおう)などの根茎を乾燥させて作った染料。濃黄色。

【鬱鬱】うつうつ 

  1. 心の中に不安や心配があって思い沈むさま。
    「鬱鬱として日を過ごす」
  2. 草木がよく茂っているさま。

【鬱鬱勃勃うつうつぼつぼつ

気が盛んに満ちるさま。
鬱鬱葱葱(うつうつそうそう)

【鬱怏】うつおう 

気がふさいで晴れ晴れとしないさま。

【鬱屈】うっくつ 

気分が晴れずふさぎ込むこと。憂鬱な気分になること。
「鬱結」

【鬱血】うっけつ

静脈の一部分に、静脈血が異常にたまること。また、その状態。
動脈の場合は「充血」。

【鬱結】うっけつ

気分がふさぎ、心の晴れ晴れしないこと。
「鬱屈」

【鬱うっこ

  1. 草木の茂っているさま。
  2. 物事の盛んなさま。

【鬱散】うっさん

憂鬱(ゆううつ)な気分を晴らすこと。うさばらし。気ばらし。

【鬱蒸】うつじょう

ひどく蒸して暑いこと。

【鬱情】うつじょう

晴れ晴れしない心持ち。気のふさぐ思い。

【鬱積】うっせき

不平・不満などが、心の中にいっぱいたまること。

【鬱然】うつぜん

  1. 草や大きな木が茂っているようす。
    鬱蒼(うっそう)
  2. 物事の盛んなこと。底の知れないほど立派なようす。
  3. 心が晴れないようす。気が滅入(めい)るようす。
    鬱鬱(うつうつ)」「鬱怏(うつおう)」「鬱屈(うっくつ)
「1.」「2.」は「然」とも書く。
(うっこ)

【鬱蒼】うっそう

あたりが暗くなるほど、大きな木が茂っているようす。
鬱然(うつぜん)」「蔚然(うつぜん)

【鬱うっちょう 

香草の一つ。鬱金香(うっこんこう)のこと。それをまぜて酒によい香りをつけるのに用いた。
また、鬱金香をまぜてつくった香酒。祭りに用いた。

【鬱陶しい】うっとうしい

  1. 気分・天候・物事の状態などが、陰気で晴れ晴れしない。
  2. 重苦しい。邪魔になってうるさい。

【鬱肉漏脯】うつにくろうほ

一時しのぎのために、先の不利益や危険などを顧みないこと。
「鬱肉」は腐って臭う肉。「漏」も臭いにおい。「脯」は干した肉・ほしじ。
腹を減らした者が、一時しのぎに腐った肉や干し肉で腹を満たす意から。

【鬱病】うつびょう

躁鬱(そううつ)病の一つの型。鬱状態だけを周期的にくりかえす。
理由もなく悲しい気分におちいり、思考が抑制され、決断力がなくなる。
躁病(そうびょう)

【鬱憤】うっぷん

我慢していたために心の中にたまった(いきどお)りや不満。恨み。

【鬱うつぼつ

  1. 意気が盛んにわき起こるさま。
    「鬱勃たる闘志」
  2. こもった気が盛んに出るさま。
    「雲が鬱勃とわく」

【鬱悒】うつゆう

心にかかることがあり、気がふさぐこと。
「鬱怏」「鬱屈」

【鬱金香】チューリップ

ユリ科の多年草。花色は黄・白・赤・紫などいろいろ。アジアの原産で、オランダなどで改良。品種が多い。
Wikipediaチューリップ
「鬱金香」は漢名からの誤用。
「うっこんこう」とも読む。

【鬱ぐ】ふさぐ

気が滅入(めい)る。心が沈んで憂鬱(ゆううつ)になる。

【暗鬱】あんうつ

気持ちが暗くふさぎこんでいること。また、そのさま。
「暗鬱な表情」

【医鬱】いうつ

ふさぐ心をなおすこと。うっぷんを晴らすこと。

【医鬱排悶】いうつはいもん

気がふさがるのをいやし、気晴らしすること。

【陰鬱】いんうつ

陰気でうっとうしい感じがするさま。また、心が晴れ晴れしないさま。
「陰鬱な雨空」「陰鬱な気分」

【気鬱】きうつ

気分がふさぐこと。

【神荼鬱塁】しんとうつりつ

門を守る神のこと。
「神荼」「鬱塁」は古代中国における兄弟の神の名。
鬼門を管理し、悪鬼を捕らえて虎に食わせるという。
「鬱塁神荼」ともいう。
「神荼」は「しんだ」「しんじょ」、「鬱塁」は「うつるい」とも読む。

【積鬱】せきうつ

  1. うっとうしい日の続くこと。
  2. 心配が積もること。また、その心配。

【躁鬱病】そううつびょう

遺伝性精神病の一種。異常に陽気になり興奮する状態(=(そう)状態)と、異常に悲観的になりふさぎこむ状態(=鬱状態)とが、単独にまたは交互にある周期をもって現れる。
俗に、後者の場合のみを指して言うこともある。

【沈鬱】ちんうつ

気分が沈んでふさぎこむこと。また、そのさま。

【沈鬱頓挫】ちんうつとんざ

詩文の風格がありすぎ、奥深く、文章中の辞句意味が通じにくいこと。また、読みにくいこと。

【保養鬱散】ほよううっさん

養生して、気晴らしをすること。休養をとり、気を晴らすこと。

【憂鬱】ゆううつ

  1. 気持ちがふさいで、晴れないこと。また、そのさま。「悒鬱」「幽鬱」とも書く。
  2. 草木が暗くなるほどに茂ること。また、そのさま。「幽鬱」とも書く。

【悒鬱】ゆううつ

心配事などがあって気持ちがふさがること。晴れ晴れしないこと。
「憂鬱」「幽鬱」とも書く

【抑鬱】よくうつ

心が晴れないこと。不快な気持ちで心が沈むこと。また、その不快な感情。

《字源》

甲骨文字・金文は「林」+「勹」(かがんだ人)+「大」(立った人)から成る。
人が生い茂った草木の中に隠れる様子を象り、「茂る・鬱蒼」を意味する。
のち秦代(金文・睡虎地簡)で「勹」「大」に訛変し、更に「爵」の略体「寸」が加わり「鬱」の意が加わる。
『説文解字』の小篆は「寸」「彡」に代わった形で、これが楷書の正字体「鬱」の形となる。
:甲骨文字。「林」+「勹」(かがんだ人)。
:甲骨文字。「林」+「勹」(かがんだ人)+「大」(立った人)。
:金文。飾符「二」が加わる。
:隷書(睡虎地簡)。下部は「爵」の省略形でと手の象形「寸」からなる。
「爵」の隷書(睡虎地簡)。下部はと手の象形「寸」からなり、は隷変しての形になる。
「鬱」の説文篆文。

《字体》

漢代の隷書の頃から、「爵」の字形に似たのように、書きやすく覚えやすい字で書かれてきた(字源的にも関連あり)。
日本でも平安時代にはすでにこの形が一般的に使われていて、「鬱」は使用されていない。
初唐の欧陽詢(おうようじゅん)や、平安時代の空海の書も、の字体。
「欝」の字体は、康煕字典の「木」の部での形で別に載っており、当時無視できないほど「欝」の字体が普及していたことを伺わせる。
現在手書きの楷書で書く場合はで書いて差し支えない。
詳細は漢字夜話の「「鬱」を覚えるのは大変?」を参照。
「鬱」の覚え方は「リンカーン(林・缶)は(ワ)アメリカンコーヒー(※・凵・ヒ)を三杯(彡)飲む」。

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