【虎】 8画 (2)  2級


[音]
[訓] とら

《意味》

  1. とら。ネコ科の哺乳動物。
  2. とらのように勇猛な。また、凶悪な。

【虎刺】ありどおし

アカネ科の常緑小低木。
Wikipediaアリドオシ
「虎刺」は漢名から。
→「通」

【虎杖】いたどり

タデ科の多年草。
Wikipediaイタドリ

【虎掌】うらしまそう

サトイモ科の多年草。名は、これを浦島太郎の釣り糸に見立てたもの。有毒。
Wikipediaウラシマソウ
「虎掌」は漢名からの誤用。
「浦島草」とも書く。

【虎魚】おこぜ

カサゴ目の海魚のうちオコゼ類の総称。ハオコゼ・ダルマオコゼなどがいる。特にオニオコゼをさすことが多い。
Wikipediaオニオコゼ
とも書く。

【虎威】こい

トラが他の獣類を恐れさせる威力。強大な武力・権力などをいう。
「虎威を張る」

【虎渓三笑】こけいさんしょう

ある物事に熱中するあまり、他のことをすべて忘れてしまうことのたとえ。
「虎渓」は廬山にあった谷の名。
晋の慧遠(えおん)法師は、寺の下にある虎渓の石橋を渡ったことがなかったが。訪ねてきた陶淵明(とうえんめい)陸修静(りくしゅうせい)を送って行きながら話に夢中になって、知らぬ間に石橋を渡ってしまい、三人で大笑いして別れたという、「廬山記」の故事から。

【虎穴】こけつ

  1. トラのすんでいる岩穴。
  2. 非常に危険な場所。非常に危険な状況。
《虎穴に入らずんば虎児を得ず》こけつにいらずんばこじをえず
危険を冒さなければ、大きな成功は得られないことのたとえ。
トラのすんでいる岩穴にはいらなければ、トラの子を得られない意から。
→「虎穴虎子(こけつこし)

【虎穴虎子】こけつこし

多少の危険を冒さなければ大きな成果や業績は得られないということ。
トラのすんでいる岩穴にはいらなければ、トラの子を得られない意から。
→「虎穴(こけつ)に入らずんば虎児(こじ)を得ず」

【虎口】ここう

非常に危険な場所・状態。絶体絶命の危機。危地。
トラの口の意から。
《虎口の言》ここうのざんげん
人を陥れるためにする告げ口。
《虎口の難》ここうのなん
非常に危険な難儀。
「ようやくにして虎口の難を脱する」
《虎口を逃れて竜穴に入る》ここうをのがれてりゅうけつにいる
一難を逃れて、また他の難儀にあう。次々に災難にあうたとえ。
一難(いちなん)()って(また)一難(いちなん)

【虎視眈眈】こしたんたん

じっと機会をねらっているさま。
トラが鋭い目つきで獲物を狙っている意から。

【虎鬚】こしゅ

トラのひげ。また、それに似た、力強く突っ張ったひげ。
「とらひげ」とも読む。
《虎鬚を編む》こしゅをあむ
生きているトラのひげを編む。危険なことをあえてするたとえ。

【虎こしょう

  1. トラがほえること
  2. 英雄が志を得て活躍すること。

【虎風生】こしょうふうしょう

優れた才能や技能を持つ人が、時を得て奮起するたとえ。
「虎嘯」はトラがほえること。トラがほえて風が起きるという意から。
(とら)(うそぶ)いて(かぜ)(しょう)ず」が書き下し文。

【虎風冽】こしょうふうれつ

聖人が君主の地位につくと、それに従って賢臣があらわれることのたとえ。
トラがほえると、風が冷たくなる意から。
(とら)(うそぶ)きて(かぜ)(つめた)し」
竜興致雲(りゅうこうちうん)

【虎頭蛇尾】ことうだび

最初は威勢がいいが、最後は奮わないことのたとえ。
「虎頭」はトラの頭。「蛇尾」はヘビのしっぽ。トラの頭は大きくて威圧感があるが、ヘビのしっぽは細くてパッとしないことから。
竜頭蛇尾(りゅうとうだび)

【虎尾春氷】こびしゅんぴょう

きわめて危険なことのたとえ。
「虎尾」はトラのしっぽ。「春氷」は春に池や湖に張った氷。どちらも踏むと危険であることから。

【虎擲竜こてきりゅうだ

英雄が戦うたとえ。
トラと竜が激しく撃ち合う意。「擲」はなげうつ、撃つ意。「拿」はつかむ、乱れ混じる意。
「竜拏虎擲」とも書く。
「竜拏」は「りょうだ」とも読む。
竜攘(りゅうじょう)虎搏(こはく)」「竜虎(りゅうこ)相搏(そうはく)

【虎列剌】コレラ

感染症の一つ。コレラ菌が小腸をおかし、下痢(げり)嘔吐(おうと)が激しく、高熱が出る。
オランダ語choleraの音訳。
虎狼痢(コロリ)

【虎狼の心】ころうのこころ

トラやオオカミのように、欲が深く、残忍な心。

【虎狼痢】コロリ

コレラの別称。
ころりと死ぬ意から。コレラに「ころり」をかけてできた語。

【虎】とら

  1. ネコ科の猛獣。
    Wikipediaトラ
  2. 酔っ払い。泥酔者。

【虎鶫】とらつぐみ

ヒタキ科の鳥。全長約30センチ。ぬえどり。ぬえ。
Wikipediaトラツグミ

【虎の子】とらのこ

大切にして手放さないもの。大切にしまっている金品。また、とっておきのもの。
トラはその子を非常に大事にするということから。

【虎の巻】とらのまき

  1. 兵法の秘伝をしるしたもの。
  2. 教科書などを安直に解説し、問題の解答などが載っている参考書。あんちょこ。

【虎とらふ

虎の背の毛のようにまだらのある毛色。とらげ。
「こはん」とも読む。
虎毛(とらげ)

【虎はしりどころ

ナス科の多年草。高さ約60センチ。全草にアルカロイドを含み、有毒。
Wikipediaハシリドコロ
「虎茄」は漢名から。
「走野老」とも書く。

【虎子】まる

病人・幼児などが室内で使う、持ち運びのできる便器。おかわ。おまる。
Wikipediaおまる
古語の「()る」から。

【虎落】もがり

  1. 先を斜めにそいだ竹を筋違いに組んだ(さく)
  2. 枝つきの竹を立て並べた物干し場。特に、染め物屋で使われた。
「虎落」は漢名から。トラを防ぐ柵の意。

【虎落笛】もがりぶえ

冬の強い風が、竹垣・電線など細いものに当たって出す、笛のような音。

【虎落る】もがる〔文語形〕

  1. 言いがかりをつけて金品をねだる。ゆする。
  2. 異議を申し立てる。反対する。逆らう。
「強請る」とも書く。

【虎耳草】ゆきのした

ユキノシタ科の多年草。湿った所に生える。
Wikipediaユキノシタ
「虎耳草」は漢名から。
「雪の下」とも書く。

虎頸】えんがんこけい

ツバメのようなあごと、トラのような首を持った意で、遠国の諸侯となるような人相の持ち主。また、堂々として優れた武勇の持ち主のたとえ。
後漢の班超はツバメのようなあごと、トラのような首をしており、初め官に雇われて筆書の仕事をしていたが、ある日思い立って出世をしたいと志し、占い師に見て貰ったところ、遠方で諸侯になる人相であると聞かされ、そのとおり戦勝して出世したという故事から。
燕頷虎頭(えんがんことう)

【群羊をって猛虎を攻む】ぐんようをかってもうこをせむ

多くの弱小国を駆り出して、連合して強国に対抗することのたとえ。
弱い羊を多数集めて強い一匹の虎を攻める意から。

虎魚】はぜ

スズキ目ハゼ亜目の魚の総称。淡水・河口から潮間帯・沿岸まで分布し、水底にすむ。体は細長く、目が頭上部に並び、左右の腹びれが癒合して杯状をなすものが多い。
Wikipediaハゼ
「鯊・魚」とも書く。

【猟虎】らっこ

イタチ科の哺乳類。海で生活し、体長約1.2メートル、尾長40センチ。
Wikipediaラッコ
「海獺」とも書く。

【竜吟虎りゅうぎんこしょう

同じような考えを持つ者は互いに心が通じ、相応ずること。
竜が(ぎん)ずれば雲がおこり、虎が(うそぶ)けば風が生じるという意から。
「竜(ぎん)(とら)(うそぶ)く」が書き下し文。
「竜吟」は「りょうぎん」とも読む。

【竜虎踞】りゅうばんこきょ

  1. 地勢の堅固な要害の地のこと。
  2. ある場所を占拠して権勢を振るうこと。
  3. 文章などに勢いがあるさま。
「竜蟠」は竜がとぐろを巻くこと。「虎踞」は虎がうずくまること。
「竜蟠」は「りょうばん」とも読み、「竜盤」とも書く。

《字源》

トラの象形。
:「虎」の甲骨文字。

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